内装インテリアに木材を使うことの健康上のメリットBLOG DETAIL

我々人類がその長い歴史をともにしている木材は、人体にポジティブな影響を与えることでも知られています。その研究は一般家庭への木材の応用から、商業施設、ひいては仕事場における効率や創造性の増幅といったコンセプトにまで結びつき、現在では学術畑においても「バイオフィリック」として注目を集めています。

さて、感覚的に人体に良い影響のあることは理解ができるのですが、木材を内装材として利用することに具体的にどのような科学的な裏付けがあるのでしょうか?今回の記事では、内装インテリア(家具や建材)に木材を用いた際に生じる人体への生理的好影響をまとめていきます。

視覚的効果

木材をインテリア材として使用することの理由の中で特に大きなものとして視覚的な効果が挙げられます。人工物の素材と比較すると、自然の造作物たる木材には、工場n大量生産では複製の難しい、木目のランダムパターン(すなわちF/1ゆらぎ効果)が備わっており、このことが見る者に程よい心地よさを与えます。

また、木材は有害な紫外線を反射しにくく、リラックス効果をもたらす赤外線を反射しやすい、という特性を持つため、目にとって優しい働きを持ちます。人工の建材と異なり、木質材の断面には無数の細かい凹凸が残され、これが光の散乱に役立つのです(参考:木材と感性

木材を取り入れたオフィス例

こうした複合的な要因の元、いくつかの既往研究によって木材の視覚的リラックス効果を測定した際に、脈拍や血圧の低下など、興奮状態を抑える効果が報告されており、その鎮静効果が実証されています(参考:木材が人にもたらす生理的リラックス効果)。

東京「人生100年社会デザイン財団様」施工実績
オフィスへの木質素材の導入

嗅覚的効果

視覚的効果と並び、木材の持つ嗅覚への作用も多くの先行研究がなされている分野です。実際に、森林浴などをおこなったとき、あるいは新品の木材家具の匂いを嗅いだ時等に、鼻孔が心地よいにおいに晒される経験が有るのではないでしょうか?元来、木々は自身を害虫から菌から守るため、抗菌物質を揮発させており(特にテルペン類)、これが人間にとって良いにおいと見なされているわけです。

この自然の発散するテルペン類の成分は、主に「抗菌」「消臭」「ダニ繁殖防止」といった特徴を持つほか、人体にとっても心理的リラックス効果を与えることで知られており、主に先行研究としては「ストレス軽減」「血圧低下」「鎮静作用」「作業効率改善」などが挙げられています(参考:木材と感性木材が人にもたらす生理的リラックス効果、等)。

もっとも、こうした先行研究の問題点として、長期的な木材空間における実証がなされづらいという点が挙げられており、実際にインテリアとして木材を使用すると、テルペン類などの濃度は時とともに徐々に低下していくことが研究されており、注意が必要です(参考: スギ内装材を施工した実験室での揮発性有機化合物濃度の経時変化)。

木材をふんだんに用いた施工例

また、個人ブログや精油・芳香剤企業サイトの中には、嗅覚への作用とそれらの作用の結果を混合するような捉え方をしているところもあり(例えば、森林浴でガンの罹患率は軽減するが、これは必ずしも匂いの作用だけによるものではなく、森林に足を運ぶ運動などのほうが要因なのではないか、とも見なすことができる)、巷で喧伝するような万能薬の効果はないことに注意しましょう。

詳細に関しては「フィトンチッドは疑似科学ではない?木材のもたらす真の効果を知ろう」の記事を参照ください。

触覚的効果

遠目には分かりませんが、木材を顕微鏡で除くと細かい空気の穴を多く内包した「多孔体」であることが分かります。この特性はいくつかのアドバンテージをもたらすもので、まずクッションとしての役割を果たすため、一般的に他の建材類と比較すると弾力性が高くなりやすいと言えます(※樹種によって硬度には違いがあります)。すなわち、転倒時や何かを落とした際の衝撃が軽減されるため、転倒リスクの多い老人ホームや幼稚園などでも使用されることが多いという訳です。

素足で歩いた際に、あるいは指で触れた際に「心地よい温度感」を感じるのもまた、多孔体であることのメリットといえます。空気の層として木材の構造が機能するため、熱の伝わり方が他の素材に比べて圧倒的に少なく(鉄やコンクリートと比較して1~3桁少ない熱伝導率 参照:木材と感性)、ゆえに冬場の「ひやっとした感触」や夏場の「熱い感触」を防ぐこととなります。

その他、研究によって木材の接触は生理的なリラックス効果が報告されており(参考:木材が人にもたらす生理的リラックス効果)、具体的には脳活動の鎮静化や副交感神経活動の沈静といった自律神経の安定作用が見られるとされます。

聴覚的効果

ピアノの響板、木琴、ギターやバイオリンなど、おおよその楽器には木材素材が用いられ、我々に心地よい音色を奏でてくれます。上述の通り多孔体である木材は音の衝撃を程よいバランスで吸収することができ、結果として人間の耳に心地よい音色として響くのです。

木材を用いた素材が人間に心地よい音を特に反響させる、ということの実験は京都大学のタッピングマシンを用いた実験によっておこなわれています(参照:Physiological and psychological responses to prolonged light floor-impact sounds generated by a tapping machine in a wooden house)。この実験によると、木造建築においては不快音のもたらす生理的なストレスが軽減されることが報告されています。

参考文献:

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