環境認証制度:PEFCとFSCの意義と違いを分かりやすく解説BLOG DETAIL

木材製品には、世界で認証されている森林制度がいくつかあるのをご存知でしょうか?我々の身近で代表的なものでは、FSCとPEFCが挙げられることでしょう。どこかで見たことがあるような…?そう、この森林認証制度のマークは意外と私たちの日用品等にも使われているのです。

普段の生活だと木材由来の製品に使われている森林認証制度には意識が行きませんが、実はこれ、私たちの生活に密接でとても大切なものなのです。この記事では森林認証制度とは何か、FSCとPEFCの認証制度の違いについて、そしてこれら認証付きの製品を購入することの消費者にとってのメリット等について、分かりやすく解説していきます。

そもそも木材認証制度とは

なぜ木材や木材由来の製品には森林認証制度が必要になるのか、まずその点から説明をはじめましょう。

森林認証制度の整備は、我々を取り巻く環境問題に端を発しています。産業革命以降爆発的に増加した世界人口と経済活動の代償として、世界中で多くの木材資源が乱獲されました。ただ木材資源を伐採することと、無計画に乱獲することとはイコールにみえて根本的に異なります。

木材資源を計画的に使用する・・森林を住処とする野生動物に配慮する、植林をおこなう、現地民の暮らしを守る、土砂災害などをおこさない
木材資源を無計画に乱獲する・・現地動物の住処を失わせる、植林をおこなわずに伐採だけする、現地の人々のことを考えない

このうち、「木材の使用」を制限するのではなく、「木材の無計画な使用」を制限しよう、というのが森林認証の本質です。そもそも人間の経済活動に資源が必要である以上、木材の使用を制限してしまっては我々は生きていくことができません(生産過程で膨大なエネルギーを消費する他の資源よりも、木材資源の使用自体は人間の経済活動にとってエコであると言えます)。

昨今叫ばれているSDGsの理念にも関わってきますが、植林・植樹をおこなわない無計画な森林破壊は単に「自然が失われる」「動物が可哀想」といった倫理的道徳観を超越し、以下のような経済的損失を我々にしっぺ返しのようにもたらします。

  • 山火事や土砂崩れといった自然災害
  • 地球の温暖化を加速
  • 気候変動による生態系の破壊
  • 貧困や賃金格差の拡大

森林破壊の起源は奈良時代!?」や「ウッドショックの闇」の記事で紹介していますが、植林・植樹は何十年、何百年というスパンでおこなわれる気の長い計画です。はげ山が増えれば土砂災害や温暖化、気候変動の原因となり、木材価格の高騰、森林をめぐる紛争の増加、ブラックマーケットに木材が流れ戦争やマフィアの資金源になるなど、我々の生活にとってもろくなことがないわけです。

これ以上無計画な森林破壊が進まぬよう、森林を保護し適切に運用するために立ち上がったのがFSCやPEFCなどの団体であり、そこから森林認証制度が生まれました。FSCやPEFCが適正に管理された森林から切り出された森林にのみ認証マークを発行し、私たち消費者が認証マークの付いた製品を選んで購入することで、悪質な森林破壊を間接的ながら防ぐ仕組みが出来上がっているわけです。

FSC認証制度とは

FSCは森林管理協議会(Forest Stewardship Council)という非営利団体で1993年WWF(世界自然保護基金)を中心としてドイツのボンで発足しました。

独自の10の原則と70の基準を世界共通の基準として認証するかを評価しています。とりわけ発展途上国で積極的に認証活動をしており、世界の国と地域でいうと80ヵ国以上にまたがり、これはPEFCの50ヵ国を大きく上回ります。一方で、認証された森林面積は218Millionヘクタールで、これはPEFCの326Millionヘクタールを下回る形です。

ちなみに、日本国内のFSCの森林登録面積は0.5Millionヘクタールで、PEFCの四分の一程度です。認証マークを使用している有名な企業としてはスターバックスやマクドナルドなどが挙げられます。

PEFC認証制度とは

PEFCは森林認証制度相互承認プログラム(Programme for the Endorsement of Forest Certification Scheme)の略称で、1999年にスイスで発足。本来は欧州域内11ヶ国で貿易を円滑に行いかつ相互の国の木材を認証しあうために生まれました。まるでEUのような仕組みで、そのベースは互いの国の認証制度を認め合うようなものです。上述の通り、FSCよりも多くの森林面積を認証しており、日本においては2Millionヘクタールの森林が認証されています。

日本は一般社団法人 緑の循環認証会議(SGEC)がPEFCと相互認証しています。認証マークを使用している企業はアスクル、スジャータ、雪印、カゴメなどで、認証は5年間有効です。

年度によって傾向が異なりますが、アフリカや中南米など発展途上国・熱帯雨林地域においてプレゼンスを持つのがFSCで、ヨーロッパで影響力が強いのがPEFCというトレンドです。

認証制度の種類

ここまで紹介してきたFSCとPEFCですが、どちらの認証制度にもFM認証(森林を管理する者のための認証)とCoC認証(森林を製品利用する事業者のための認証)という種類があり、「誰」が認証登録するかによって使い分けが行われています。

FM認証…森林管理(Forest Management)で、森林組合など森林を管理する人が使うものです。個人でも取得可能です。

CoC認証… 加工や流通過程の管理(Chain of Custogy)で、FM認証を受けた木材が製品になるまでを認証しています。流通業、小売業、印刷業、製紙会社などで使用されます。このCoC認証を取得していないと製品に認証マークをつけることができません。CoC認証は事業体ごとにカウントされ、日本ではFSCで約1900件、PEFCで約500件の登録がなされています。我々が身近で目にするPEFCやFSCの認証マーク一つ一つの背景に、こうしたCoCやFMの認証がなされているというわけです。

FSCとPEFC認証制度を使うメリットは

さて、最後に消費者目線で、FSCやPEFC認証マークのついた製品を購入することのメリットを確認してみましょう。

FSC、PEFC認証のついた製品を購入することそれ自体は、世界環境に大きなインパクトを与えることはありません。仮に、私が今日FSC認証のトイレットペーパーを買おうが、違法伐採で作られたトイレットペーパーを買おうが、すでにトイレットペーパーは市場に出回っているので、その一回の購買行動は環境問題にあまり深刻な影響を与えません。また、度々誤解を招くマーケティング行動が行われていますが、PEFCやFSCは環境配慮のための認証であって、その製品のクオリティが他のものよりも良いということを示しません。

ただし、全ての購買者の意欲がこうしたエシカル消費に向いたとしたら、環境へのインパクトが変わってきます。PEFCの調査では、すでに購買者の60%以上が「どちらかと言えば環境に良い」製品を嗜好するという結果が出ており、売れるものが良いものという資本主義社会においては、購買者の意思決定プロセスは企業の戦略に重要な影響力を持ちます。

そのため、環境意識やエシカル消費は度々、その国の国策、教育やメディアと深い関係性を持ちます。我々が日々の生活に追われ1円でも安い製品を嗜好するのではなく、子供たちの世代、生物多様性、そして少し先の未来の環境を考えるようになれば、おのずと社会は認証のついた製品を選択するようになるわけです。

また、この環境認証の動きは、日本の国際競争力とも密接な関係を持ちます。大きな購買力を持つヨーロッパや北米先進国の消費者がこうした「倫理的な選択」をするようになっている以上、我々のみ日本人が頑なに安いものを追い求める製品嗜好だと、他国が日本の木材製品を輸入したくなくなる未来が来るでしょう。現実の経済活動において必ずしもこうした森林認証が理想通りに機能しているかは別とし(例えば、FSCは実態を反映していないという批判を受け、最近になってブロックチェーン技術を取り入れた、正確な資源のトラッキングシステムを導入しました)、それらが世界の木材製品市場のメインストリームになっていく以上、日本も追随する覚悟はある程度必要と言えます。

木材流通は、まさに世代を超えたビジネスです。我々の祖父、そのまた祖父の時代の森林資源がこんにちの我々を取り巻く木材ビジネスの礎となっているわけで、同じく我々の孫や孫の孫の世代のことを考えた施策というものが都度都度必要になってきます。

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