福岡県大川市 江頭仏壇様GALLERY DETAIL
2023年2月23日にオープンした株式会社江頭仏壇様の展示場「彌榮(いやさか)」のリニューアルを手掛けさせていただきました。
「お仏壇は時代の変化に取り残され、職人たちの技術とともに消えていってしまうことしかできないのだろうか」
これが江頭仏壇様の長年の課題でした。そこで当社と約一年半、打ち合わせを重ね、お仏壇の見せ方を考え抜き、 „美術館“ をコンセプトとした白のベースと木材が調和した空間に辿り着いたのです。ちなみに白をベースカラーにした理由は、お仏壇の “色” を強調するため。これからの社会と融合していく余白を持つという意味を込めました。
時代の変化に対応する老舗の共通項は、柔軟性と取捨選択の勇気。その両方を持ち合わせていたわけです。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というドイツの名宰相オットー・ビスマルクの格言があります。
日本の文化や伝統、そして宗教には大切な教えが数多く存在するものの、若い世代には見向きもされない。日常には昔からの知恵がたくさん詰まっていて、仏壇もまさにその一つ。でも、伝えた方を少し変えるだけで、こちらを振り向いてくれるのではないか、そういった想いからこの江頭仏壇様の一大プロジェクトが始動しました。
リノベーション前の写真です。
このビフォーの写真を見ても、「そんなに悪い?」と感じる方もいるかもしれません。確かに、日本らしい木材を細部に使用し、畳を敷き、仏教らしい和を感じさせる空間。外国人にも好まれそうな作りです。ですが、おそらくそこが日本の次の世代に刺さらないのではないか、と考えました。そもそも今までのスタイルに固執しなければならないというような制限はありません。
歴史と共にすべての物事がその姿を変化させてきました。ダーウィンの名言でこのような言葉があります。
「生き残る種とは、最も強いものでもない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したもの」
江頭仏壇様も時代と人々の変化に適応し、新たな “見せ方” を確立しました。
まずは大きな看板を取り除き、スタイリッシュな白の看板に変更。外から見る風景は見違え、街のアイコン的存在になるように意識しました。それから展示する仏壇の数を厳選。本当はもっとたくさん種類があり、本音は全てを見せたいのかもしれません。しかし敢えてそうはせず、数を絞ることで、種類の幅を見せることから、質の高さを没入的に鑑賞できるようにしました。
そして、仏壇屋さんだからといって仏壇を全面に押し出すことはせず、その他の関連商品を美しく展示しました。この彌榮にあるほぼすべての商品は、仏壇に使われている技術が使われて製造されています。家族が帰郷するときに拝む、毎朝起きるたびに拝む、毎朝視野に入るもの。お仏壇はまさに日常の一部だからこそ、日用品も一緒に置くようになりました。
伝統と歴史がモダンと融合したこのデザイン。変わりゆく時代に対して進化を迫られている老舗企業の皆様に参照となりますことを心より願っております。
日付 | 令和5年2月23日 |
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住所 | 〒831-0035 福岡県大川市津14−5 |
URL | https://www.butsudan.co.jp/ |