EXPO 2025 大阪・関西万博 UAEパビリオン向け木材輸入物語5BLOG DETAIL
第七章:モハメドという男
インド、チュニジアと世界を半周した440万本のナツメヤシ調達の旅もいよいよ大詰め。最後は、パビリオンの主役であるUAE本国からの240万本のナツメヤシの枝輸入をめぐる物語となります。
インド、チュニジアと世界を股にかけて飛び回りましたが、そもそもパビリオンの主役であるUAE本国からのナツメヤシの枝の調達は、本プロジェクト開始と同時に進めていたものでした。
最も、輸入ビジネスの定石は「卵は同じカゴに盛るな」
当社としてもプロジェクトの関係者としても、材料調達のサプライチェーンリスクは分散させたいところ。そのため、約200万本ずつチュニジアとUAEから調達することにしたわけです。
すでにチュニジアからの200万本が確保できたため、物語の舞台は最後のUAEに移ります。
UAE一口メモ
さて、UAEからのナツメヤシ輸入は、ある男の存在なくしては語れません。その男こそ、我々のUAEからのナツメヤシ輸入を成功に導いてくれた、「モハメド」という男でした。「途方もない数のナツメヤシの枝が必要になってくる」という漠然とした情報から、快く本プロジェクトのサポートを引き受けてくれた人物です。
チュニジアでの拠点づくりと並行して、我々はモハメドを頼りにUAEでのナツメヤシ調達スキーム確立を試みます。
初手から、モハメドの対応は電光石火でした。当プロジェクトに使用するナツメヤシの枝のサンプルを、最初のオンラインミーティングからわずか1週間で日本へ発送、その早業とクオリティの高さに我々は度肝を抜かれます。
「この男に会いにいくしかない・・」
最後の240万本を埋めるため、我々のUAEへの旅が始まります。

第八章:最後のコンテナ
モハメド、そしてUAEのサプライヤーの対応は我々の想像をはるかに超える手際の良さでした。

UAE到着早々。本件がUAEの国の威信に関わるプロジェクトであることを聞くと、モハメドは採算度外視での協力を申し出てくれます。
そこからの流れはチュニジアのナツメヤシと同じ・・いや、製造拠点を制作する手間が無かった分スムーズだったかもしれません。
冬前に調達をおこない、乾燥させた状態でコンテナに詰め、日本に発送してもらう・・その過程で、材料の色や曲がり具合の打合せ、出荷前の検品、コンテナに積載するための相談、など幾度となくUAE現地への渡航が繰り返されます。

合計6回ものUAE訪問の中で、我々と現地のサプライヤーたちの絆は強固なものになっていきます。
「UAEパビリオンの材料を調達してるんだって!?」
そんな噂を聞きつけ、あるときテレビの取材がおこなわれました。
またある時、UAEが未曽有の洪水に見舞われました。ナツメヤシの枝は水浸し・・・そして、この出来事は一番最初に出荷された、あのカビの生えたナツメヤシの枝の悪夢を我々に思い起こさせました。
「こんな時は、焦らず乾かして含水量を基準値以下まで下回らせてから出荷だ。」
こうしたトラブルにも、すでに我々は焦ることなく対応できるノウハウを身に着けていました。ナツメヤシなど縁もゆかりもなく生きて来た我々でしたが、気が付けばすでに日本で一番ナツメヤシの枝の輸入に詳しい木材業者、と呼んでも過言ではないほどの知識と経験が身についていたのです。

知識、経験・・・そして仲間

何もない状態から始めたナツメヤシ調達という挑戦でしたが、気づけば周りには我々をサポートしてくれる多くの仲間に囲まれていました。


UAEからの出荷を終えた夜。美しいUAEの夜景に囲まれ、仲間とともにその料理に舌鼓を打ちながら我々は確信しました。
「このプロジェクト・・必ず成功する」
続く(次でラスト)