ヨーロッパの家具を購入するときの注意点BLOG DETAIL
ドイツの職人によって作られた機能的な家具、イタリアの有名デザイナーによって作られた高級家具、北欧のスカンジナビアン文化の影響を色濃くうけたものなど、ヨーロッパの家具は我々日本人の憧れの的でもあります。
こうしたヨーロッパの家具を輸入し、日本で用いたいと夢見る人は少なくありませんが、ヨーロッパの気候や環境に合わせて製造された家具は、日本の条件下では思いもよらぬトラブルを引き起こすことがあります。
本稿では、よくあるヨーロッパ家具の日本におけるトラブルと、その解決策を紹介します。
サイズ
ヨーロッパの家具を購入する際に最も注意しなくてはいけないとされているのが「サイズ」や「高さ」です。特にダイニングテーブルや椅子などは、欧米の身長(平均180㎝)や家の大きさに合わせて作られていることが多く、日本人にとっては大味であることが問題になりがちです。
日本 | 欧米 | |
ダイニングテーブル | 70~72㎝ | 75㎝前後 |
椅子 | 36~45㎝ | 45~50㎝ |
サイズ違いのテーブルや椅子などを用いると、姿勢が悪くなってしまうことは勿論、視力や骨格の歪みといった問題を引き起こしかねません。
また、健康面での問題だけでなく、家に搬入できるかどうかの問題もあります。欧米の家の玄関は、体格の理由から200~220㎝とされていますが、日本の玄関の場合190~200㎝とされており、日本の家屋に搬入できないサイズであるケースも少なくありません。
家に合わないサイズ違いの家具を購入してしまうと、玄関や壁を傷つけたり、最悪の場合折角買ったのに搬入できないということに繋がりかねませんので注意が必要です。
湿気と乾燥
一般的に、ヨーロッパの気候条件(特に湿度条件)は日本よりも安定しているため、家具もそのような安定した気候での使用を念頭に置かれています。木材に関して言えば、高湿度環境では膨張、乾燥環境では収縮がおこなわれるため、冬や夏の極度の多湿・乾燥環境では膨張や収縮が起こり、反りや割れを引き起こす可能性があります。
また、木材だけでなく部材として用いられる金属やソファの布張り部分にも同様の注意が必要です。特に四方を海に囲まれた日本の夏場の多湿環境は多くの繊細な家具によって天敵となり、場合によってはダニやカビの温床になりかねません。
素材 | 影響 | 対策 |
木材 | 膨張・収縮、反り・割れ | 湿度管理、オイル塗布 |
金属 | 錆び | 防錆剤、乾燥剤の使用 |
布張り | カビ・ダニ | 除湿、クリーニング |
皮革 | 乾燥・カビ | レザークリーム、湿度管理 |
こうした日本の独特の気候に対応させるためには、室内の湿度環境を適切に保つなどの試みが必要になります。
一般的には人体にとっても健康的な湿度環境といわれる湿度30~60%の間が推奨されており、逆に70%を超える湿度環境下ではカビやダニの発生確率が高まります。こうした湿度によるトラブルは、家具以外にも輸入建材などでも同じように報告されているので注意が必要です。
木材の堅さ
ヨーロッパで家具の材料として人気なのはオークですが、広葉樹であるオークはヒノキや杉と違って硬く、また上述の通り湿度の影響を受けやすい樹種でもあります。木材の硬度はヤンカ係数という尺度によってあらわされますが、この硬度の高い木材は内部応力が高いため、急な乾燥時(特に湿度40%以下あたりが注意水準と呼ばれる)で割れを引き起こします。
対照的に北欧諸国で人気を博すパインは、明るく室内を広く見せる効果がありますが、広葉樹に比べ硬度は低いため、重いものを載せたり使用方法次第ではすぐに傷がついてしまいます。
木材の種類 | ヤンカ硬度 (lbf) | 比重 (g/cm³) | 特徴 | 日本での使用時の注意点 |
オーク | 1290 | 0.75 | 硬く耐久性が高い | 乾燥時の割れ・反り防止 |
ウォールナット | 1010 | 0.64 | 適度な硬さと耐久性 | 水分による色変化やシミに注意 |
パイン | 380-870 | 0.35-0.50 | 柔らかく加工しやすい | 傷がつきやすく湿気に弱い |
日本でヨーロッパ風の家具を楽しむには?
ヨーロッパの既成品を日本に持ち込む場合、こうしたトラブルに直面することがあります。日本の家屋でヨーロッパ風のスタイリッシュなデザインの家具やインテリアを楽しみたい場合、どのようにしたら良いでしょうか?
日本の気候条件になれた職人によって製造された欧風デザインの家具を用いることは、この質問に対する一つの答えとも言えます。日本一の木製家具の町大川の職人は、480年前の戦国時代の船大工の技術を継承する職人集団であり、日本の家具づくり産業の中でも極めて技術力の高いグループといえます。
こうした日本の職人の作る欧風家具は近年脚光を浴びており、洋風・和洋風の商業施設、ホテル、レストランなどでも多く用いられるようになっています。日本の技術を活かし、洋風のデザインを取り入れるという、和魂洋才の家具製作の利点は、上記のような海外からの輸入につきもののトラブルを避けられる点です。
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