イタリアの家具産業は何故世界で有名か?BLOG DETAIL
世界第四位の木製家具輸出額を誇るイタリア。グローバリゼーションによって多くの安価な家具が市場に出回るようになっても、高いデザイン力を武器に高級家具路線を貫く家具づくりの大家です。
本稿では、デザインと職人力に特化したイタリアの家具づくりについて解説をおこないます。
イタリアの家具づくりは何故有名か?
日本の家具輸出額は75億円程度なのに対し、イタリアは3500億円。同じモノづくりを重んじる国なのにも関わらず、どうしてこのような差がついているのでしょうか?
端的に述べると、イタリアの家具づくり、ひいてはそのデザイン力を世界規模の競争力にし仕立て上げているのは以下の要因によるものです。
イタリアの家具作りが世界的にも競争力を持つ理由:
- 世界的にも最古の「美」を重んじる国風
- 職人技術の長年の継承
- 地中海にアクセスできる海路
- 木材、大理石、など家具や彫刻作りのための素材が豊富
デザイン力
世界最古の歴史を持つイタリアは、すでに2000年前には美への傾倒をはじめていました。戦乱が終わりパックス・ロマーナの時代になると、財が増え、人々の心にゆとりが生まれます。特に貴族階級の人々にとって、彫刻や美術への出資は権力を見せつける意味でも効果的で、多くの芸術がこの時代に発展しました。
この芸術を重んじる伝統を受け継いだのがルネサンスで、東ローマ帝国の滅亡によって逃れてきた知識人などを吸収し、中世の芸術がイタリアの地で花咲いたわけです。ルネサンスの特徴として、芸術と職人の垣根が低いことが挙げられます。例えば、ダヴィンチはデザインを自身でおこないつつそれを形にすることで知られています。バウハウス時代のドイツがおこないたかったことが、奇しくも既にこの時代のイタリアで実現されていたわけです。
その後も、形を変えつつイタリアの美を重んじる姿勢は現代まで脈々と生き続け、ファッション、建築、車、家具づくりなど様々な分野のモノづくりに活かされています。

(C)flicker 18世紀のイタリアの家具
職人力
世界有数の職人文化を誇るイタリア。上述のように芸術を重んじる文化にあって職人が重宝された国民性と、中世以降の職人文化を町ぐるみで継承していくギルドの文化が混合され、現代にその血脈を受け継いでいます。
世界における長寿企業ランキング(100年以上存続している企業の数)で、1位は日本ですが、イタリアは6位と、世界の中でも有数の「古い文化を重んじる」国として知られています。
家族経営的で、町ぐるみで「伐採」「加工」「組み立て」などさながら一つの企業として機能するようなイタリアの職人シーンは、日本の家具伝統の町大川市と通じるものがあります。
イタリアの有名デザイナー、ルカ・メダは「ブリアンツァの職人なしに私のデザインは生まれない」と言ったほどで、イタリアの卓越したデザイン力が具現化されているのは、ひとえにこうした長年の技術を継承する職人力があってこそなのでしょう。
地理的要因
4つの海に面したイタリアは、歴史的にも交通の要衝として知られてきました。文化の交差点として、イスラム、キリスト教圏、ドイツ、フランスなど、様々な強国の文化や技術がこのイタリアの地に集積されていったわけです。
素材の点でもイタリアは他国に比べてアドバンテージを持っていました。このような海上貿易を通じて流れ着く他国のエキゾチックな木材に比べ、自国の豊富な木材資源を武器として、様々な家具づくりに活かされます。
現在でも世界有数の大理石生産量を誇るイタリアでは、木材以外にもこうした石材を用いての建築が広く浸透してきました。こうした豊富な天然素材は、イタリアの職人文化の研磨に長年役立ってきたと言えます。
日本とイタリア
こうした「美の本場」ともいえるイタリアのデザインは、日本の産業とも密接な関係を持っています。
自動車メーカーのMazdaがイタリアのデザイナーとコラボしていたのは割と有名ですが、他にも日本のモノづくりの多くにイタリアのデザインが用いられています。
480年の歴史を持つ福岡県大川市。そこの伝統的な木工技術とイタリアのデザイナーがコラボして作り上げたのが「移動式茶室」です。
こうした木工芸術は、デザイナーだけ、職人だけでは製造できません。国境を隔てた文化と伝統が一つになり、新しい風として創り出されていくのです。
プロセス井口は日本最大の木工の町、大川市の会社です。
製材・木材加工販売、家具制作、デザイン、建築と上流から下流までを少数精鋭でこなすプロの職人集団です。
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