ベトナムの家具づくりの歴史と特徴BLOG DETAIL

木製家具生産額において世界2位の座を占めるベトナム。発展途上国として未だに高いGDP成長率を誇り、ASEANの中でも近代化の進んでいる勢いのある国では、家具づくりも盛んです。

本稿では、メイド・イン・チャイナの後継者として知られるベトナムの家具作りの特徴について詳しく解説していきます。

なぜベトナムの家具輸出額が高い?

2022年現在、ベトナムの木製家具の輸出高は5000億円に相当。世界の木製家具輸出市場のマーケットシェアのうち10%を占めています。ベトナムは年間の一人当たりGDPは5000$程度(日本の1/6)という発展途上国に分類される国ですが、人口約1億人を抱えその勤勉な性格も相まって継続的な経済成長を続けています。

現在、世界の家具作りの市場においてベトナムが強いプレゼンスを発揮しているのにはいくつかの要因があります。

木工家具の輸出額ランキング

Rank Country Export Value (USD)
1 中国 $8.16B
2 ベトナム $3.29B
3 ポーランド $3.13B
4 イタリア $2.26B
5 ドイツ $1.41B

 

ベトナムの家具作りが盛んな訳

  • 豊富な森林資源
  • 中国の工場がベトナムに移転
  • ベトナム政府による海外企業の積極的な誘致
  • 安価で勤勉な労働力

ベトナムの家具製作のうち約50%は海外企業によるもので、このベトナムの海外輸出高の中には、例えばベトナムにある日系の工場で製造した家具を日本に輸入する分なども含まれています。

元々、日本や欧米のアジアにおける生産拠点は中国でしたが、製造コストの上昇、政治的リスクなどの理由から、徐々にベトナムやタイなど近隣国に移転する動きがみられてきました。

その過程で、ベトナム政府も積極的に海外企業の誘致をおこない現地の雇用を創出するため、インフラや税制面での優遇など措置をおこなってきたわけです。

またこの際、ベトナム人の持つ勤勉さと労働単価の安さも呼び水となりました。2025年現在、地域によっては未だに最低時給が100円程度のところもあり、既に二倍以上差の開いている中国から、徐々にベトナムへの工場機能の移転が行われています。

ベトナムの家具づくりの歴史

農村文化が伝統的だったベトナムにおいては、元来竹を編んで製造された机や椅子など、素朴な家具が用いられていました。

中世に入ると中国文化の影響を色濃く受けるようになります。唐木細工のような中国のデザインがベトナムに浸透すると、宮廷や上流家庭の中ではステータスの一種として重厚な家具が用いられるようになります。この際、花梨やローズウッドなどベトナム原産の木材を用いた家具づくりの文化が広まり、ベトナムに職人文化が息づくようになりました。

18世紀~19世紀になるとベトナム社会にとって一つの契機が訪れることとなります。「フランスによるベトナムの植民地化」です。この契機によって、ベトナムに西洋文化が伝わり、建築や家具づくりにもその色が色濃く見受けられるようになりました。

それに続く20世紀はベトナムにとって戦争の時代でした。日本軍による進駐、戦後の独立戦争とベトナム戦争、中国との国境戦争など、ベトナム人は国家を分断する苦難を味わいながらも、自国の独立を勝ち取りますが、同時に経済は荒廃することとなります。

この時期、多くの職人や知識人が国外に逃亡したり、戦争で徴兵されたりしたため、ベトナムの家具づくりの文化は停滞することとなります。

ベトナムにとっての家具づくりが息を吹き返したのは1986年のドイモイ政策以降のことでした。

ベトナム家具の特徴

上述の通り、ベトナムの家具作りシーンの多くは、海外資本による大量生産としての家具ですが、中には伝統的な工法を残した街も多く残されています。

例えばハノイ近隣では、Đồng Kỵ市のように中国文化の影響を受けた木工家具の生産拠点があることで有名です。また、Kim Bồng市のように1400年代に設立され、ベトナムの船大工や木工家具の拠点として栄えた伝統的な街も残されています。

こうした木工家具の特徴は、花梨やローズウッドのような現地の高級で重厚な木材を使用した装飾的な家具づくりで、シンガポールや日本、韓国などを対象に輸出がおこなわれています。

500年の歴史を持つ福岡県大川市も、元々は船大工の系譜を継ぐ木工家具の生産地です。国は変われどこのように、大量生産ではなく手作業での伝統文化を守り続ける人々がいることを嬉しく思いますね。

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