世界の有名な木工家具の産地ベスト5BLOG DETAIL
我々の生活に必要不可欠な家具・・・世界には地理的、歴史的に家具づくりの盛んな市が存在しており、こうした市の家具は時に高級品として、世界の家具愛好家たちの間で親しまれています。
今回の記事では、世界的に有名な木工家具の生産地を5つ紹介します。
コペンハーゲン(デンマーク)
オークやパイン、ビーチなど良質な森林資源に囲まれたデンマークでは元々木質家具の生産が有名でした。20世紀初~中期の「デンマーク・モダン(Danish Modern)」の運動に牽引され、今までの家具づくりの伝統とミニマリスティックなモダンデザインが上手く融合されることとなり、一躍世界有数の有名家具づくりの町として有名になっていきます。
シンプルで機能美を追求したデザインが特徴で、代表的なブランドではカール・ハンセン&サン(Carl Hansen & Søn)、フリッツ・ハンセン(Fritz Hansen)などが挙げられます。
無駄を省き、シンプルで機能的なデザイン、そして柔らかい曲線と自然素材の使用に特徴づけられるコペンハーゲンの家具は、高級家具として世界的に人気を博しており、日本にも根強いファンがいることで知られています。
ブリアンツァ(イタリア)
ヨーロッパ屈指の木工家具生産国、イタリアの特に有名な木工家具生産地としてはミラノ及びその近辺のブリアンツァ地方が挙げられます。デザインの発信地として有名なミラノ、そして豊潤な木工資源、そして地元の伝統的な職人技術、のそれぞれの強みを活かした組み合わせがイタリア木工家具の付加価値の理由として挙げられています。
伝統的な職人技術を大切にしつつ、一方で都会の斬新なデザインを積極的に取り入れていく姿勢はこの地方の家具メーカー、アルフレックス(Arflex)やポルトローナ・フラウ(Poltrona Frau)、カッシーナなどを世界的に有名にすることに貢献しました。
イタリアの有名デザイナー、ルカ・メダは「ブリアンツァの職人なしに私のデザインは生まれない」と言ったほどで、イタリアの高いデザイン力を具現化する能力にたけた伝統的な職人たちこそ、イタリアのモノづくりの真骨頂とも言われています。
蘇州(中国)
世界最大の家具の輸出国として名高い中国、その長い歴史の中で研鑽された家具づくりの技術は各地に家具づくりの文化的基盤を生み出しました。大量生産の家具以外にも、こうした伝統文化が中国の地方には残されています。
数ある中国の都市の中でも特に木工家具製造で有名なのが、東洋のベニスとして名をはせた蘇州です。明代に経済的発展を遂げた江南という経済的土壌を擁し、河川に面し木材の調達が容易であったこと、文化の中心地として官僚や学者が集っていたこと、等が幸いし、ローズウッドや花梨など中国の伝統的な高級木材を用いた木工家具の生産を得意とする木工家具文化が成長しました。
明が滅び、清の時代になっても蘇州の大工たちの技術は重宝され、清の宮廷の制作のために移住を命じられたと伝えられたほどです。こうした蘇州の伝統的な家具づくりは、現代でも綿々と受け継がれ無形文化財として登録されています。
ハイポイント(アメリカ)
世界二位の家具輸出高を誇るアメリカにも家具のメッカは存在します。特に、世界の家具の首都という呼び名が付くノースカロライナ州のハイポイントが家具製作では有名で、High Point Furniture Marketという世界的に有名な展示会を年に二回開催しています。
元々森林に囲まれたハイポイントは、19世紀から交通の要衝とも知られ木材資源を集めやすい条件が整っていました。他の家具づくりで有名な都市同様、ハイポイントにおいても豊富な森林資源と職人、そしてデザインやマーケティングの洗練をたゆまぬ努力によって続けており、世界有数の家具づくりの町としての名を手にしています。
大川市(日本)
日本最大の木工家具の生産拠点としては福岡県の大川市が挙げられます。他の家具づくりで有名な他国の都市同様、大川市も「豊富な森林資源」「交通の要衝」「歴史的な職人技術」そして「たゆまぬデザインの研鑽」という条件を携えていました。
大川市の木工家具の歴史は室町時代後期に遡ります。元々船大工として名をはせていた大川の職人たちの元に、榎津久米之介という人間が京都の指物(家具づくり)文化を伝えます。
戦国の世が終わり兵糧や兵士を運ぶ船づくりの文化が廃れると、大川市の職人たちはそのスキルを活かして家具職人としてジョブチェンジをおこないます。それから約480年、世界でも有数の長い歴史を持つ大川家具が誕生しました。
その長い歴史の中で磨かれた芸術的ともいえる家具づくりの文化は大川の地に根付くと共に、絶えず新しいデザインを取り入れる試みがなされています。当社プロセス井口も、各地のデザイナーと協業し、新しい家具づくりの道を拓き続けています。