木製が使われている最新のテクノロジー5選BLOG DETAIL

我々の最も身近な素材、木材。旧石器時代から現代の最先端技術にまで応用されている木材には、我々の知られざるパワーが秘められています。今回の記事では、人類が発明した「木製の凄いもの」を5選紹介します。

透明な木材

文字通り、スマホスクリーンや住宅の窓などに用いることを想定した「透過性」の木材です。現時点では住環境への応用には至っていませんが、既に透明な木材自体の製品化は行われています。

構想自体は1990年代からあったようですが、2010年代にスウェーデンKTH大学が製品化に成功し、シースルーウッドが発売されると、大手メディアがこぞって関心をもつようになりました。

そもそも、木材が色をもつのはリグニンと呼ばれる成分によるもので、これを除去することで光の吸収と散乱を防ぎ、透過する技術です。強度やコストの点で、未だに実験レベルを超える実用化はおこなわれていませんが、将来的には窓ガラス、スクリーン、太陽電池など現在ガラスなど熱伝導性の高い素材が用いられている部分の代用になることが期待されています。

人工衛星

1957年にソ連が人工衛星スプートニク1号を打ち上げてから60年以上が経過、現在までに10,000個以上の人工衛星が打ち上げられ、今でも地球の軌道上には5,000個以上の人工衛星が漂っているとされています。

さて、地球の軌道が人工衛星に埋め尽くされ、現在では「スペースデブリ」と呼ばれる宇宙ゴミの問題が取りざたされるようになってきました。役目を終えた人工衛星の残骸が今後の宇宙開発に影響を与えたり、大気圏に突入後に燃えるアルミニウムがオゾン層などを傷つけることが発見されたのです。
そんな中、開発されたのが「地球環境」のみならず「宇宙環境」にも優しい木製の人工衛星です。京都大学と住友林業の共同開発によって実現したこの人工衛星「LignoSat」は、2024年夏に打ち上げられる予定であるとされます。

興味深いことに、バクテリアの存在しない宇宙空間でこうした木質素材は思いのほか「長持ちする」とのことで、役目を終え大気圏で可燃ごみとしてそのまま燃え尽きてくれる、実にエコな人工衛星として各国メディアの注目を集めています。

木釘という概念自体は日本にも昔から存在しましたが、一般的に我々が現代社会で用いている釘とは異なり、先に穴となる部分をあけて、そこにビスのようにうっていくものです。

近年発明された欧米の木釘は、一般的なアルミ釘のように何もない断面に「打ち込む」ことのできる本格的な釘です。特殊なネイルガンを用いて打ち込む必要がありますが、釘の強度は一般的なアルミ釘と変わらず、木質建材などと組み合わせてリサイクル容易な施工がおこなえたり、サウナや特注の家具など金属製の金具を使いたくないような部分を収めることができます。

また、この木釘、ユダヤ教の人々から密かに注目を集めているとのこと。というのも、ユダヤ教の教義では、葬儀に用いるひつぎには金具を使用してはいけないことになっており(肉体は土に変えるべき、という理念に基づいて)、そこに代わりに木釘を用いることで強度の高い棺を作れる可能性ができたわけです。

風力発電所

従来の火力や石炭を用いる発電所に代わって、近年水力発電、風力発電など「グリーンエネルギー」と呼ばれる発電所の需要が高まっています。とはいえ、一部の専門家からは「そもそもそういった発電所を立てること自体」が環境破壊につながるとも指摘されていました。

そんな風力発電への批判も少なくない中今回開発されたのが「木製の風力発電所」で、以下の動画を見ての通り木質素材であるLVLをベースに製造されている高さ150mの大型建造物です。製造時に膨大なCO2を消費する鉄鋼ではなく木材を用いることで、製造時の環境への影響を大幅にカットしました。

また、木材の持つ「軽さ」も魅力で、鉄鋼よりも高くよりエネルギー効率の良い風力発電所を建てられます。

スーパーカー

第二次世界大戦中に木質で飛行機が作られたことは一部のマニアでは有名です(大川市でも作られていました!)。中でも、当時イギリスで製造されていた名機と名高い「デ・ハビランド・モスキート」からインスピレーションをうけた、木製のスーパーカーが近年アメリカで開発されました。

エンジン部分など、一部金属を用いている部分はあるものシャーシを含めほぼ90%が木製で製造されたこの「スプリンター」、採算度外視で実に5年という製造年月が費やされています。

上述の通り、人工衛星から風力発電まで、強度の用いられるような場面でも使用される木製素材。スーパーカーにあっても制作者のジョーハーモン氏は木質素材の耐久力に自信を持っており、理論値では時速300kmも可能だそうです。

もっとも、その非合理的なまでに労力を費やすこととなる木材の加工プロセスを大量生産に転用するにはまだまだ時間がかかるのと、エアコンが使えない、エンジン音がうるさい、など実用化に向けて障壁は山積しています。我々が活きている間に路上を木製車が走り回る時代はくるのでしょうか・・・?

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