米国労働統計局の発表するデータによると、アメリカでは年間を通じておおよそ5000人前後が「業務中」の事故によってなくなっているとされています。

統計によると、アメリカの平均的な業務中の死亡者の割合は10万人のうち3.3人という非常に小さな数字となっている一方、鉱山作業員などで10万分の46、パイロットが10万分の70、と高い割合となっています。

そして、こうした「危険な仕事」を抑え最も危険な仕事として注目を集めているのが、10万分の111という高い死亡率を持つ、「伐採業」です。

伐採の歴史

人類の発展を支え続けてきた「木材」。住宅、工具、築城、武器、燃料、と人間文化を取り巻くあらゆる場面で用いられる天然素材であり、現在においてもなお重宝されています。

人類が木材を使用し始めたのと同時に、「伐採」の需要が始まりました。紀元前のエジプトやローマ帝国では造船や築城のために無作為に森林の伐採がおこなわれ、この時代から既に森林破壊がはじまったと言われています。また、この時代から現代に至るまで、「伐採」は世界でもっとも危険で、過酷な仕事の一つに数えられています。

伐採機械や輸送車の登場する前の木こりたちは、山奥に「ランバーキャンプ」と呼ばれる設営所を設け、家族たちと離れ危険な森仕事に従事していました。こうした時代に木こり業の主役を担ったのが「斧」そして「筋肉」です。木こりたちは、己の肉体に命を預け、毎日膨大な量の木材を切り出すこととなります。それゆえ、特に腕っぷしの強いもの、荒くれものたちの仕事として有名でした。

伐採の危険

近代的な木工機械が登場してもなお、伐採にともなう危険は残り続けています。伐採をおこなうにあたり、以下のような事故への注意が必要となります。

下敷き・落下物
特に樹齢の古い木々の伐採には要注意で、伐採の方向のコントロールがおこなえず、切った木の下敷きとなり死んでしまう事故が多く発生します。日本でも、こうした下敷き事故の発生件数は非常に高く、林業従事者以外でも、自宅の庭の伐採をおこなおうとして下敷きになって亡くなられる方もいるなど注意が必要です。

また、直接伐採した木以外にも、高所に挟まった木（「Widowmaker(未亡人製造機)」と呼ばれる、高い致死率を誇る）などが作業員の頭上に落下し、命を落とすケースも少なくありません。

高所からの落下
伐採業にとっての危険の一つが「高所からの落下」です。枝払いなど、高所のみの伐採をおこなうために木に登って伐採作業をすることも少なくありませんが、足場が不安定な上高所で機械を操るなど、高度な技術が必要となり、事故の発生に繋がります。

危険な動物
国や地域によってはクマや狼、その他野生動物に加え、毒蛇や蜂などにも注意が必要です。また、蚊、アブ、ブヨなどが媒介する病気に感染することもあります。

危険な道具
伐採の道具の主役は、斧からチェーンソーのような電動器具へと移り変わりました。一歩使い方を間違えると大惨事に繋がるこうした木工機械による部位切断、死亡事故も後を絶えません。

また、木材輸送に使用されるトラックや重機による事故も多発しており、自分だけではなく一緒に作業をおこなうパートナーとの意思疎通が事故防止のために重要です。

輸送中の事故
切り倒された木を運ぶ際にも、気が抜けません。一般的に規格の定まった既製品とは異なり、長さや重さの統一されない原木の輸送をトラックで行う際には、梱包次第では滑り落ちて運転手や他の車を破壊することに繋がります。

また、トラックや列車による輸送技術が発達する前は河川を用いての木材の輸送が一般的でしたが、そうした際にも川に詰まった木材を取り除く際に多くの死者が出ました。

伐採から「製材」へ

こうした、林業従事者の命がけの作業の果て、貴重な原木が我々のような製材所に運ばれてくることとなります。480年の歴史を持つ大川市には、家具職人や大工など木材にまつわる仕事が多く、自然と製材所の数も多い形です。

時と共に、製材所のあり方も変わってきました。当社プロセス井口は、木材の加工やカットから、デザインを通じて付加価値を提供する取り組みを行っています。木材の扱いに長けた製材所のおこなうデザインだからこそ、木材の良さを最大限に引き出せるモノに仕上げられる自負を持っております。

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