【要注意!】木材を海上輸送する際の危険なポイントBLOG DETAIL

昨今の木材サプライチェーンの停滞で、直接海外業者からの木材の買い付けを開始したケースが少なくない事でしょう。木材(原木、製材等)や木材製品を日本に輸入、あるいは日本から輸出する際に主要な輸送手段となるのが「海上輸送」です。

もっとも、一般的な国内の輸送とは異なり、輸送に時間を要する海上輸送の場合、予期しなかったトラブルが発生することもあります。今回の記事では、木材を海上輸送する際の危険なポイントとトラブルの回避方法についてまとめていきます。

未乾燥の木材をコンテナに載せる

多くの木材を安価に輸送できる方法として世界の木材貿易には度々「海上輸送」が用いられます。特に、四方を海に囲まれた日本にとっては外材や南洋材を自国に持ち運ぶための生命線と言えるでしょう。

その木材×海上輸送の天敵ともいえる存在が「カビ」です。海上輸送は場合によっては1ヶ月~2ヶ月の航海を要するため、海上の過酷な気候条件と相まって製品自体にカビが生えてしまう危険があります。最悪の場合、輸送を終えて日本に到着したコンテナを開けてみたらカビだらけで全く使い物にならない、といった恐ろしいケースも考えられます。

カビの発生原因は諸々考えられますが、こと木材輸送に関して発生原因になりやすいのが「含水量」で、原産地側での木材の乾燥が不十分な場合(場合にもよるが、一般的に含水率20%以上は赤信号、可能であれば15%以下)、輸送中のカビ発生リスクが上がります。

水分計などを用いた測定が一般的ですが、樹種によって測定部分が異なったりするため、目利きが確認する必要があります。

水分計
(C)Flicker Paul_Daniele

含水率が高い木材を海運しなくてはいけない場合(時間的な制約などで多々ある)、コンテナへの乾燥剤の使用等が推奨されます。

未梱包の製材を輸送する

上述の通り、木材が含んでいる含水率をコントロールしても、海上輸送は常に湿気に晒される厳しい環境です。コンテナ内外の気温差、厳しい雨風による隙間からの水漏れ、など、カビや腐食、反りに繋がるような問題が多く散見されます。また、湿度や水だけでなく、輸送時の衝撃による傷や損傷からも製品を守らなくてはいけません。

こうしたトラブルから大事な製品を保護するため、梱包材・パッキング・緩衝材の使用が推奨されます。こうした梱包作業には手間と費用が掛かりますが、折角到着した製品が使い物にならないリスクを避ける上でも重要な先行投資です。

正しい梱包の例

木材の樹皮の有無

日本に木材を輸入する場合、場合によっては規制の対象となります。例えば「丸太や樹皮の一部を残した木材」を輸入する場合、植物検疫法の対象として、植物検疫証明書の提出が求められることとなります(製材に関してはこの対象ではなく、樹皮の付着が植物検疫法の対象かどうかの一つの論点となる)。

特に海運に限らず、空運でも同じ問題は発生しますが、仮にこのことを知らずに植物検疫証明書なしで樹皮の付着した木材を輸入してしまった場合、返送対象となり大規模な損失を被ることとなるので注意が必要です。

ワシントン条約に抵触する木材の輸出入

こちらも海運に限った問題ではありませんが、ワシントン条約に抵触するような木材の輸出入は注意が必要です。ワシントン条約に記載されたリストにはカテゴリが存在しており、付属書Ⅰ(商業取引は禁止されているが、学術目的での取引は可:ローズウッドなど)、付属書Ⅱ(条件付きで取引可:マホガニーなど)、付属書Ⅲ(原産地証明などが必要)によって取引の可否が分かれています。

いずれにせよ、ワシントン条約のリストに記載されたものは追加の書類や事前の申請が必要になるため、出荷前に確認しておく必要があります。

化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)

防腐、防虫処理過程に用いられる化学薬品の種類によっては「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」の規制対象となります。この場合も、適切な処理・申請が必要となるため、出荷前の確認をおこなうこととなります。

森林破壊防止法に関連する海外規制

北米やEUなどを中心に、木材それ自体の合法性だけではなく、木材を製造する過程での環境破壊なども規制の対象となりつつあります。この場合、輸出側企業のデューデリ書類が必要となり、違反者には罰金などが課せられることとなります。

現在、海外から日本に持ち込む木材に対する同種の罰則は設けられていませんが、グリーンウッド法の改正と罰則化が取りざたされています。

コンテナの到着後はスピード勝負

コンテナが日本の港に到着すると、輸入業者は速やかに荷物を搬出しなくてはいけません。一般的な猶予は5営業日で、それを超過すると超過金が発生し、仮に1ヶ月も放置しようものなら何十万円という金額に膨れがあることも。

基本的には、積み荷が港に到着する前から税関で必要な書類関係は全て揃えて置き、搬出のための業者なども手配しておく必要があります。積み荷が到着してから慌てて通関書類を揃えても間に合わず、超過金を支払うことになりかねません。

(C)Flicker Make_it_Kenya

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