ヨーロッパの歴史的に貴重な古い木造建築5選BLOG DETAIL

奈良県の法隆寺が建設されたのは607年、実に1400年以上も前の建築物ながら、今でも存立していることで知られています(実際には711年に一度消失しており、現存するものは1300年経過)。このように我々の想像を超えた長い年限、風雨に耐えられる秘訣としては「木材」が使われていることに由来し、実際にコンクリートなどではここまで長いこと強度を保てません。

さて、世界の古い木造建築に目を向けると、やはり島国である日本の建築物が目立ちますが、実はヨーロッパにも多くの隠れた「古い木造建築」が現存しています。今回の記事では、ヨーロッパの厳しい冬と戦争を乗り越え、未だ現存する木造建築を紹介していこうと思います。

グリーンステッド教会(イギリス)

ヨーロッパ最古の木造教会は、同時にヨーロッパ最古の現存する木造建築でもあります。世界最古の現存する木造建築は西暦607年に建造された日本の「法隆寺」ですが、イギリスのグリーンステッド教会はそこから200年程度後の845年頃に建てられたと推測されています。

身廊部分には当時のままのオーク材が使用されていると伝えられていますが、教会の全ての木材が当時のまま現存するわけではなく、幾度も修復を経ており、その大部分は改修された材料を用いています。例えば、塔の部分などは1500年前後と推測されています。

グリーンステッド教会の内部(C)Flicker Amanda Slater

教会の周りには墓地があり、確認される中では1000年前の十字軍の戦士の墓が未だに残されており、歴史を感じさせます。

レッサーポーランドの教会群 (ポーランド)

現代でも国民の7割がカトリック教徒という信心深いポーランドには多くの木造教会が現存しています。その中でも、ポーランド南東部、ウクライナとの国境付近のポーランド木造教会群はその保存状態の良さと歴史的価値から有名で、ユネスコにも登録されています。

6つの登録された文化遺産のうち、ハチュフの聖母被昇天教会は15世紀前半に建造された、ヨーロッパ最大のゴシック様式の教会として知られています。18世紀から続くポーランドの苦難、ポーランド分割と二つの世界大戦という悲惨な歴史にも関わらず現存する貴重な木造建築であり、建物だけでなく宗教画や装飾品といったものも歴史を越えて観光客を魅了します。また、現在でも週末にはミサがおこなわれています。

(C)Flicker mik Krakow

Stålekleivloftet(ノルウェー)

厳しい冬の寒さを幾度となく乗り越え、ノルウェーで倉庫として使用されてきたこの木造建築は、1200~1300年ごろに建てられたと推測されています。教会や居住用ではなく、地元の裕福な女性が倉庫として建てたことが起源のようで、当該地域における初の倉庫としての文化的な貴重さも後世に伝えています。現在は博物館の一部として展示されています。

Haus Bethlehem(スイス)

人口5万人、アルプスの少女ハイジに出てくるようなスイスのSchwyzには、13世紀後半に建設された木造住宅が現存しており、1980年までは居住者がいたと言われています。17世紀には村の大火災がおこり、ベツレヘムの家の鼻の先まで焼失したものの、当該建築は災害を乗り切ったとされています。

プリンキポの孤児院(トルコ)

設立自体は1898年と際立って古くはないのですが、東大寺についで世界第二位の木造建設としてトルコの「プリンキポの孤児院」は知られています。元々は高級カジノとして設立されましたが、様々な政治的軋轢によって開業がかなわず、紆余曲折を経てギリシャ正教系の孤児院として引き渡されることとなり、1903年から第一次、第二次世界大戦をまたいで1964年まで運営されていた由緒正しい建造物です。

その文化的、歴史的の高さから保存を求める声が高まっていますが、トルコとギリシャの政治関係の悪化、イスタンブールの再開発問題、保存費の負担など様々な要因によって保存活動が見送られており、欧州投資銀行によって「危険にさらされている文化遺産リスト」に含まれることとなりました。

パクルオジスの木造シナゴーグ(リトアニア)

中世ヨーロッパの覇権を握ったポーランド・リトアニア王国の残滓ともいえる独特の木造シナゴーグは、1930~1940年の間に悉く反ユダヤ勢力によって破壊されるか、独ソ戦のあおりを食らい破壊されました。

現存するものはほんのわずかといわれ、リトアニアの木造シナゴーグの中で最大かつ最古のものがこの人口2000人足らずのパクルオジスに存在しています。

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