高い家具=良い家具?本当に良い木製家具の条件を徹底解説!BLOG DETAIL

机、椅子、タンス、バーカウンター・・木質家具を持ちいた家具や什器は多く存在し、誰もが「良いクオリティ」の木製家具を欲しいと思うでしょう。もっとも、いざ良い木製家具の定義を聞いても、中々答えられる人は少ないかも知れません。

実際の所、木製家具のクオリティは様々なファクターによって決定されます。真に良い木製家具の目利きをするために、お店でどのような点にこだわればよいのかの解説をおこないます。

木材素材

良い木質家具には「良い木材」が使われることが必要条件としてよく挙げられます。良い木材というと、ウォールナットやチークのような高級木材が頭に浮かぶと思いますが、家具に用いられる「良い木材」の定義は一様ではなく、家具の大きさ、気候、荷重、用途、文化によって異なることに気を付けなくてはいけません。

例えば、日本の伝統木製家具である「ダンス」。着物を収納するのに使用されるため、調湿効果の高い桐が用いられています。また、樹種の中でも比較的軽く、持ち運びにも向いています。ただし、その分圧縮強度は他の樹種に比較して劣るのが桐の弱点で、椅子など荷重がかかるものに使用するのにはあまり向いていません。

福岡県 モンキーポット材の納入実績

椅子を作るのに用いられる樹種と、タンスを作るのに用いられる樹種、それぞれ「良い木材」の定義が異なることがお判りでしょう。それゆえ、高級な樹種が使われているからといって必ずしも良い家具ではない、という点に注意しなくてはいけません。

樹種だけでなく、その樹種のグレードや乾燥方法にも注意が必要です。グレードには、節の大きさ、白太の多さなどが影響し、できるだけ瑕疵が少ない木材であるほど高級材として知られています。また、素材となる木材が自然乾燥なのか人工乾燥なのか、人工乾燥であればどれくらいの速度で乾燥がなされ、どれくらいの含水率を持つのか、などが木材の質を判別するうえで重要な試金石となります。

一般的に木製家具用に出回る木材は人工乾燥がほとんどですが、中でもあまりに急激に乾燥処理が施されたものは強度が弱い可能性があります。ただし、グレードにしろ乾燥工程にしろ、結局のところは木材の用途や費用対効果に関わる話であるため、最終的には予算との相談になることが多いと言えます。

ポイント

  • 樹種自体が高級か否かは一つのベンチマークとなる
  • もっとも、使用される家具によってなんの樹種が適しているかは異なる
  • 樹種のグレードや乾燥工程などもクオリティの重要な試金石である

塗装・コ-ティング・染色

木製家具は木材を用いて製造されますが、強度や耐水性の面でその木材そのままを使う訳にはいかず、オイルやラッカーを用いて表面塗装処理を施すことが一般的です。使用されやすい塗装剤としては「ウレタン」「ラッカー」「オイル」「UV」などが挙げられ、いかに木材の自然の肌触りや色合いを保持するか、あるいは強度にこだわるか、の両者のバランスをとる必要があります。

塗装技術の中で木材そのものの良さを活かしたければ「オイル塗装」が一般的です。ただし、表面コーティングではなくあくまで表面にオイルが塗布されているだけなので、他の塗装処理に比較するとキズに弱い欠点を持ちます。

ウレタン塗装であれば逆に木材本来のもつ肌触りや見た目がやや損なわれますが、代わりに耐水性と耐久性を得ることとなります。そのため、机(特に飲食施設等)に用いられることが多いと言えるでしょう。

当然のことながら、これら塗装剤にもグレードが存在し、人体への影響が少ないもの、木材の見た目を損なわず耐久力の高いもの、メンテナンスのしやすいもの、などがありますが、やはり質の良い塗装剤は高価である点に注意が必要です。また、塗装の際も職人の技術が必要となり、誤った塗装技術を用いた場合、均一に塗布できずムラができてしまうなどの原因になります。

  • 家具の用途によってふさわしい塗装技術は異なる
  • 塗装剤自体のクオリティが影響する
  • 塗装技術も塗装のクオリティに影響を及ぼすため、熟練した職人を要する

加工技術

日本に木製家具の産地と呼ばれる地域は、福岡県大川市を筆頭にいくつか存在しますが、それら企業や職人は特定の地域に集中していると言えます。これは、家具作りの技術が特定の場所と地域に暗黙知として蓄積される種のものであり、一朝一夕に身に着けられるものではないことを示していると言えるでしょう。

人工素材と異なり、木材を用いて家具製造する場合湿度環境によって膨張・縮小することを予め考慮する必要があります。製造工程ではミリ単位での正確な(工具や機械を用いた)加工が必要になる一方で、それら木材本来の持つ動きを、日本の気候条件にあわせ考えて職人が手を動かすこととなります。

メンテナンスさえしっかりしていれば、江戸時代の箪笥などが今でも現存しているほど長持ちする丈夫なものになります。逆に言えば、いくら素材に高級なものを用いても、加工技術が稚拙であればクオリティは台無しになってしまいます。

480年の歴史を持つ大川の職人たち

デザイン&機能性

こと家具づくりにあって、デザインと機能性は同じ根を持つテーマであると言えます。良いデザインの家具とは、直接機能性に直結した、無駄を省いたシンプルな作りであることが多いからです。

当社プロセス井口による三重県「アクアイグニス様」納入例

さて、いくら上記のような完璧な材料と技術が用いられた家具であっても、デザインや機能性が稚拙であっては仏造って魂入れず・・木製家具の価値が台無しになってしまいます。ここでも注意が必要なのは、インテリアは周囲との調和であるため、安物の家にポツンと高級家具や有名デザイナーの家具がおかれていても浮いてしまいます。四畳半の部屋にベルサイユ宮殿で用いられるようなコーヒーテーブルがあってもやはり浮いてしまいます。あくまで、自身の家や空間と調和のとれたデザインや機能性が必要になってくる、というわけです。

大川の職人技術によって完成された移動式茶室

木製家具における「良いデザイン・機能性」の定義は議論百出となり、ここで解説することは省きますが、良いデザインを論じるにあたっては住む人、あるいは使う人の行動様式がテーマになることが多いということです。例を挙げると、400年を超える歴史を持つ大川家具に新しい風を吹き起こしたデザイナー河内諒氏です。長い伝統を抱える大川家具は旧式のものとなっていましたが、引き手無し箪笥という機能的なデザインを取りいれたことで、大川市の家具は一気に全国での知名度を上げます。これは、ちょうど日本人の行動様式が高度経済成長を経て都会化されていくなかで、ちょうど求められていた新しいデザイン・機能性に彼がフォーカスした結果と言えるでしょう。

一つ一つ手作りの木製家具はその家や施設のコンセプトにふさわしいデザイン性にあわせて製造されます。当社はその理念から、インテリア空間のコンセプト作りから家具作りをトータルコーディネートするプロセスをおこなっています。

 

 

 

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