アフリカの有名な森7選BLOG DETAIL

サバンナのイメージが強いアフリカ大陸ではあまり森林のイメージが湧かないかもしれません。ところが実際のところ、世界の森林に占める割合はヨーロッパが25%なのに対してアフリカ大陸は16%となっており、3位のアジア大陸(15%)とは微差でありながらも、世界の中の森林面積の中で大きなプレゼンスを占めす結果となっています。

さて、ここ数十年を見ると、ヨーロッパにおいての森林面積は増加傾向にありますが、世界全体の森林面積はあまり変わっていません。その理由としてアフリカ大陸での著しい森林の現象が理由として挙げられます。減少傾向にはありますが、アフリカ大陸にも熱帯雨林であるコンゴ盆地や、沿岸の森林やマングローブから乾燥した森林、サバンナの森林など、様々なかたちの森林生態系があります。そのため、森林面積の減少や環境保護のためには、アフリカの森林保護が重要なファクターを占めると言えるでしょう。

地球全体の生物のうち、50〜80%の野生動物の住処としての役割や、大量の雨が降った際に洪水や地滑りを防ぐ天然ダムの役割を担うアフリカ大陸の森林、今回は7つご紹介します。

アツィナナナの雨林

アツィナナナの雨林はマダガスカル東部にあるアンドハヘラ国立公園、アンドリンギトラ国立公園、マロジェジ国立公園、マソアラ国立公園、ラノマファナ国立公園、ザハメン国立公園の6つの国立公園にまたがる森林です。日本でも馴染みのあるアイアイや、可愛らしい尻尾を持つワオキツネザル、地面を飛び跳ねて移動することができるベローシカファなど、マダガスカル島における固有種は非常に多く約1万2千種類の固有種が生息しています。また、キツネザルなどの絶滅危惧種の生息や様々な種類の生物が生息していることが評価され、2007年にユネスコの世界遺産に登録されました。しかし、マダガスカル東部での森林伐採により残りの森林はわずか8.5%となってしまい、2010年には危機遺産リストにも登録されてしまいました。

オシュン=オショグボの聖なる木立

オシュン=オショグボの聖なる木立はナイジェリアにある原生林です。オショグボとはナイジェリア、オシュン州の州都であり、アフリカ民族のヨルバ人にとっては宗教的な意味を持つ原生林となっています。オシュン州はオシュン川沿いの地域であり、この川の名前は豊穣の女神オシュンに由来しており、オシュン川はこの女神が姿を変えたものだと信じられていました。

ギシュワティ森林保護区

アフリカ大陸の東に位置するルワンダ共和国北西部には、ギシュワティの森からなる自然保護区、ギシュワティ森林保護区があります。この保護区の森林は森林破壊の大きなダメージを受けており、1978年の時点ではほとんど手はつけられていなかったのにもかかわらず、2001年には森林の99%が破壊され、約1000平方キロメートルもあった森林がわずか約6平方キロメートルにまで減少してしまいました。この大規模な森林破壊の背景にはルワンダ国内の情勢が大きく関わっています。1994年ルワンダ虐殺により、多くの避難民が森へ殺到し住居や農業地の確保を目的として森林を開拓していったことが、ここまで深刻な森林破壊を進めてしまった理由です。この森林破壊の影響として、生物の生態系が大きく変わってしまったほか、土壌浸食、地滑りなどの問題が生じています。最近では植林活動によって約10h平方キロメートルまで回復しましたが、残念ながら元の面積には程遠い数値です。これからも失った森林面積を取り戻すために様々な活動をしていく必要があります。

ケニア山国立公園

ケニア山はケニアの中央に位置し、赤道直下に位置しているにも関わらず年中雪があり、氷河帯・氷河渓谷もある不思議な土地です。ケニア山国立公園は、ケニア山一帯を保護するために1949年に国立公園として設立されました。ケニア山国立公園はグレビーシマウマの最大生息地であることや、標高の低いところでは猿やバッファローが、高地にはゾウなどの大型生物が生息していたり、高山帯ではアフリカ特有のジャイアントセネシオなどの高山植物も見ることができます。このように様々な生物が生息していることから、1978年には生物圏保護区に認定され、さらに1997年にはユネスコの世界遺産にも登録されました。山の一帯は火山の堆積物で土壌が肥沃であり、大量の水にも恵まれており農業が盛んに行われているため、人口増加の傾向にあります。

ミジケンダのカヤの聖なる森林群

カヤとはケニア海岸部の山間に築かれていた要塞化した村落のことを指します。ミジケンダ諸民族にとって文化的な要素を持つ重要な拠点であった場所であり、ミジケンダの起源とも関係のある場所として知られています。カヤは円形の村落であり、その中心部には宗教的な観点から大きな意味を持つ呪物が埋められており、その周囲には住民たちのコミュニティーが広がっています。周囲の森林は2本の道を除けば原生林であり、祖先の霊が出現する聖なる場所と考えられていることから、森林の伐採などは認められていませんでした。

ムランジェ山森林保護区

ムランジェ山森林保護区は1927年に設立されたアフリカ大陸の南東に位置するマラウイ共和国の保護区です。この保護区はマラウイ共和国の環境保全団体で、森林の保護活動や生物多様性の研究を行っている「ムランジェ山保全トラスト」によって管理されています。この区域にはムランジェ山保全トラストの本部がある他、マラウイ共和国のお茶の生産における中心地にもなっています。ムランジェ山は平野が広がる中に急激な傾斜を持って高くそびえ立っており、海抜である斜面の上には盆地が形作られています。この高い海抜やその地形学的構造からこの地域では11月から4月にかけて高い降水量が観測される独特の気候が見られます。この特徴的な気候によって希少種や固有種が多く存在するムランジェ山森林保護区特有の生態系が発展しています。

マーチソン・フォールズ国立公園

ウガンダ北西部にはウガンダ国内で最も広大な国立公園である、マーチソン・フォールズ国立公園があります。この国立公園は隣接するブグング野生生物保護区とカルマ野生生物保護区と共にマーチソン・フォールズ保護区を形成しており、この保護区に隣接しているブドンゴ森林保護区にはウガンダ最大の生息数を誇るナイルワニをはじめとする76種類の哺乳類、450種類の様々な鳥類が生息しているなど生態系も豊です。これらの保護区はライオンの保護区域にもなっており、2006年にはラムサール条約にも登録されました。

まとめ

木材資源のための伐採がやり玉に挙げられることが多いですが、実際に森林破壊を助長しているのは「無計画な伐採」であり、特に石油などの天然資源やダイヤモンドなどの宝石類の発掘による森林伐採や焼き畑です。また、アフリカ特有の木炭の需要にも原因があります。木炭は多くのアフリカ住民にとって主要な調理用燃料となっており、人口増加と都市化により木炭の需要が高まったことも森林破壊に拍車をかける要因になりました。今日では、木炭に代わる代替の再生可能エネルギー源の可能性も示唆されているが、代替の再生可能エネルギーの普及にはアフリカ諸国政府による支援政策が必要になってくるでしょう。

途上国で森林伐採が行われることは発展のために必要不可欠であるかもしれません。そのため、先進国と同じような森林の保護政策を取ることも難しくなってきます。しかし、アフリカ大陸には他の大陸には見られない様々な生物がたくさん生息していることも事実です。国の発展と森林・生態系の保護の両立は難しいですが、アフリカ大陸の国々だけで対策に取り組むのではなく、経済的、政治的な視点から、他の大陸の国々も一緒になって対策に取り組んでいくことも必要になってくるのではないでしょうか。

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