海外からの木材輸入はなぜ難しい?支払い方法解説(前編)BLOG DETAIL

ドイツの勇壮で幹の締まったオーク、東南アジアの湿度に強いゴムの木、美しい赤褐色を持つアメリカのブラックチェリーなど、木材はその土地と風土に根差した特徴を持っていると言えます。建材やインテリアの世界では、こうした日本にはない各国の木材や木材加工品がしばしば用途に応じて用いられています。

さて、いざこうした木材を海外から輸入しようとすると、様々なハードルが存在していることに気が付くでしょう。木材の検品はどうしたら良いか、少量での輸送は可能か、支払いはどのようにしたら良いか、等々。今回は、木材貿易の世界で特に交渉難易度の高い「支払い方法」に焦点を絞って解説していきたいと思います。

木材貿易は何故難しい?支払い交渉が難航しやすい理由

重量と体積が多くなりがちな木材貿易の世界では、輸出する側の国から輸入する側の国の港まで「船」での輸送が一般的です。船で製品の輸送を行う場合、船に直接製品を載せて運べるわけではなく、コンテナと呼ばれる輸送型の容器に収納されることとなります(一般的には)。

国際規格として一般的な20FEETコンテナを用いる場合、容積はW2300mm x H2350mm x L6000mmの32立方メートルとなります。最も、コンテナ空間を天井までぱんぱんに敷き詰めることは物理的不可能で、かつ重量の制限もあることなどから、実際にはこの7割~8割程度を活用できれば良いほうでしょう。面ではなく空間を活用できるため、一度に運搬できる量は想像以上です。

海運による木材運搬のメリットとして、一度に多くの量を運搬できる点が挙げられますが、裏を返すと少量の運搬には不向きであるとも言えます。船会社からしたら、コンテナ満載であろうと10%しか空間を活用していなかろうと、船の上に一つの大きなコンテナが載せられることに変わりはないので、基本的にはコンテナを用いて運輸する際はコンテナ一つ分の輸送料金がかかると考えたほうが良いでしょう(混載便などを除く)。

勿論樹種や加工度合いによりますが、一般的に20Feetコンテナに木材や木材加工品を満載させると300万円~1000万円前後の製品価格となります。ワンショットの取引がこの規模の額になると、輸入者と輸出者との間でしばしば論点となるのが「支払い方法」です。一取引の額が膨大になりやすく、支払い方法に関する交渉が決裂しやすい事から、木材貿易は中々手が出しづらい産業分野とも言えるでしょう。

  • 木材貿易はワンショットの量と額が膨大になりやすい
  • 輸入者と輸出者が遠方に位置しているため、製品発送後や支払い後にクレームを入れることが困難、そのためお互いに以下のリスクを抱えている
  • 輸出する側: 発送後に代金の回収ができるかどうかのリスクを抱える
  • 輸入する側: きちんと製品が自国に届くのかのリスクを抱える
  • お互いに都合の良い貿易条件を提示するため、しばしば交渉が平行線をたどり、交渉成立がしづらい

出荷されていく膨大な量の丸太

支払い方法

貿易の世界で広く用いられている支払い方法が、木材貿易でも活かすことができます。具体的には、以下のような方法が貿易シーンにおいて用いられやすい支払い方法と言えるでしょう。

  • 前金全額払い
  • 頭金支払い(前金一部払い)
  • D/P決済
  • Cash against Document
  • Letter of Credit
  • D/A決済
  • 代金引換
  • 後払い
  • 信用保険による担保後、後払い

上から、輸入者のリスクが高い順となっています。実際にどの支払い方法を用いるかは、両者の信用度、交渉パワー、国際情勢や価格等様々な要因に影響を受けるため、どの支払い方法が最適かは個々のケースによりますが、輸入側としてはできるだけリストの下のほうの支払い方法を利用したいところでしょう。

前金全額払い

輸出者側からしたら最もリスクが低く、「おいしい」支払い条件と言えます。輸入する側が前払いで全額支払ってくれるのであれば、輸出者側としては現金を回収し損ねるリスクがありません。逆に、輸入する側からしたら支払った後に製品が発送されないという大きなリスクを抱えており、リスクの分配度合いでいえば不公平ではあります。

輸入側 輸出側
メリット すぐに交渉が成立する すぐに交渉が成立する、リスクがほぼゼロ
デメリット リスクが高い 無し
具体的なリスク 前金で全額支払ったあと、輸出者が雲隠れしてしまうと支払い損になる 無し

輸入者側のリスクがあまりに高い支払い条件のため、一見すると成立しなさそうに思えますが、頭金全額前払いは「時短」という国際貿易の実務において重要な長所を持っています。

要するに、電信送金するだけなので、後述するような支払い方法と比較すると支払いにかかる手間と時間が圧倒的に短いです。特に、国際貿易の場面では、コンテナの出荷締め切りが迫っている場面での交渉も少なくありません。そうした際に、最も時間を節約できるのがこの手段ともいえます。

もっとも、いくら時短になるといっても、やはり100万円、200万円の製品の製品に対し全額前払いが用いられることは少ないでしょう。少額、出荷元との信頼関係がある、短期に製品を出荷数する必要がある、などの条件を満たすときにのみ、活用できる支払い要件と言えます。

用いられる場面:

  • 出荷の締め切りなどが迫っている(特に、重要なプロジェクトに関わる資材など)場合
  • 出荷元との信頼関係が堅固である場合(グループ会社等)
  • 出荷額が少額で、その他の複雑な支払い条件を用いる意味がない場合(サンプル品の出荷など)
  • 出荷元の売買契約不履行のリスクに対し保険などを掛けられる場合
頭金の支払い(前金一部払い)

国をまたいだ取引の場合、しばしば出荷側に「仕様の変更」等を求めるケースが出てきます。具体的には、パッケージの変更、規格の変更、新たな原材料の使用、等です。こうした際、出荷元としては工場に置いてある既製品を出荷するだけではなく、一定の手間を費用を用いて新たに出荷する分を製造するため、その工賃や材料費に対するリスクが発生してくることになります。

こうした際、輸入側は「製品代金の30%」などを着手金として支払い、残りの70%は製品が完成したら、あるいは製品が港についたら支払う、といった形で支払いをスプリットする手法がしばしば用いられます。

輸入側 輸出側
メリット 全額払いよりはリスクが少ない 最低限の原価分だけは回収できる
デメリット リスク発生 リスク発生
具体的なリスク 頭金を支払った後、輸出が行われない、到着した製品に瑕疵がある、などのリスクは拭いきれない 製品を製造した後、輸入側が突如雲隠れするケースも考えられる

上述の「全額前払い」よりは輸入者側のリスクは減りますが、それでも支払った後に出荷元が雲隠れすること、欠陥品が届くこと、なども考えられるため、リスクは依然として残ります。また、輸出側もせっかく製品を作っても、輸入側が急にいらないといってしまえば、残りの製品額を回収することができなくなります。

用いられる場面:

  • 出荷側が当該製品に対し先行投資や特別な工賃が必要となる場合
  • 輸入側が全額を前払いするリスクを受け入れることができない場合

※残りの支払い方法に関しては「海外の木材製品を輸入する際の支払い方法(後編)」の記事を参照ください。

ドイツから直輸入した建材が大川に到着

ロシアの木材工場視察時

ポーランドの木材加工工場

木材貿易ビジネスの世界は特殊は、海外で育った木材のクオリティのチェックもさることながら、このような支払い条件や輸送条件のすり合わせなど、度重なる交渉ごとのハードルも非常に高いと言えます。当社はアジア諸国、ヨーロッパ、北米などとの貿易の実績を抱えており、社長自ら世界中を飛び回り検品に赴いては、厳選された木材の輸出入を心がけております。木材や木材加工品の輸出入をお考えの方は、是非ともお気軽にお問合せください。

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