【視察報告】木工の町「大川」の職人の技を巡るツアーBLOG DETAIL

木工の町と呼ばれるだけに世界レベルの技術力を持った職人がひしめき合う福岡県大川市。生涯 “職人” を貫き通すその熱意と作品に懸ける想いは、完成品を目の当たりにするだけでひしひしと伝わってきます。

日本が持つこういった世界最高峰の職人と「一緒に何かしたい」「自社製品に組み込んで新しい風を吹かせたい」と考える企業は少なくありません。なぜならば、デジタル化とグローバル化によりビジネスの形態やユーザーの興味など、あらゆるものが驚異的なスピードで変化しており、企業はそれに対応すべく、新商品の開発に取り組んでいるからです。

今回は、日本人形を制作する事業者の方々が大川の職人と将来的なコラボを見据えて視察をした2日間についてリポートします。

 

視察の背景と目的

大川市の職人ツアーに参加したのは株式会社真多呂人形の代表取締役 金林様と人形屋ホンポを運営する株式会社成島の代表取締役CEO 成嶋様です。

どちらも日本の伝統技術と文化を支え、職人の技を大切にする会社。しかし、事実として日本人形のような伝統的な商品は時流の遷移に伴いその需要を減らしつつあります。こういった状況を打破すべく、木工の町「大川」の職人と何か新たなものを作れないか、異なる分野の職人と職人を掛け合わせたら面白い化学反応が起きるのではないか、こんな期待を胸に大川市へと足を運ばれました。

 

視察場所

今回の視察では丸太の製材から家具を作る現場、その後の塗装など上流から下流までを満遍なく紹介しました。

そもそも大川市は家具の6大産地のひとつに挙げられ、480年の歴史を誇ります。それゆえに木工関連で数多の企業が切磋琢磨しており、約1日半という短い時間で案内できる企業数はほんの一握りでしたが、日常ではなかなか感じられない職人魂を体感することができたのではないでしょうか。

 

有限会社石橋商会

まずは最も上流に位置する製材関連の石橋商会様のご紹介です。ここでは仕入れた丸太の皮を剥き、製材へ加工し、その先の商流へ販売しています。

綺麗な製材への第一歩:丸太はまず皮剥きをすることが大切です。

樹齢300年は優に超えるような丸太

製材は要望次第で納品するまでに2年ほど天然乾燥させるそうです。

 

株式会社大新

株式会社大新様は、突板(ツキイタ)と塗装を行う企業です。今回お見せいただいた商品の多くはMDFと呼ばれるファイバーボードの表面を加工したもので、この加工の工程を入れることでMDFが高級感溢れる素材に仕上がります。

オーソドックスな使い方の一つがシステムキッチンの扉や天板で、光沢が出てかつ水をはじく効果から採用されています。しかし、少し視野を広げるとその用途は様々で、要は依頼側が使いたいように使うことができるのです。

株式会社大新のHPへ

 

大川市役所

大川市役所は、大川が木工の町なだけあり、 “インテリア課” という部門が存在します。建物の中に入ると、木製インテリアが受付と待合所を彩り、かの有名なグラミー賞でも出展された茶室が迎えてくれます。

 

 

有限会社トマト

有限会社トマト様は、0.2㎜の突板(ツキイタ)を製造する会社です。約2.0㎜以内のものが突板にカテゴライズされいますが、国内基準は原則0.2mmとなり、その薄さから薄突きとも称されます。

0.1㎜でも薄くすることを追求した結果辿り着いたこの数値。業界外の人にとっては分かりづらいですが、例えば0.3mmから0.2mmになるだけで1.5倍変わるとなると、材料費への影響がいかに大きいか想像しやすいのではないでしょうか。

ちなみに、同社工場の二階には約130種の突板が保管されています。日本にある樹種が約200種と言われており、そのうちの約65%がここにあると考えると驚異的な数字なのが伝わるでしょうか。

有限会社トマト様は突板を製造する会社ですが、「覚えられやすいから」という理由で社名に “トマト” を採用したそうです。しかし、会社を訪れると外装が全てグリーンで塗装されており、非常にユニークなブランディングで訪問客を魅力します。

 

テクニカル堤(真空張り)

テクニカルズ堤株式会社様では、「真空貼加工」と「水圧転写加工」が行われています。同社は最大級の真空貼加工機を所有しており、非常に大きな面積の板まで張り付け可能。

そもそも真空貼加工とは、対象物とシートやフィルムを真空下で貼り合わせる技法です。対象物にシートないしはフィルムが接触した後、高圧で加圧することで、対象物に曲面があっても綺麗な張り合わせを可能にしています。

手作業ではどうしてもシワになりやすい工程ですが、最大級の真空貼加工機が多様な対象物への綺麗な貼り付けを実現しています。

代表の堤氏の趣味が全面に表れた素敵な工場となっています。

 

家具工房西田

手作りでしか出来ない匠の技が詰め込まれた家具職人西田さんの作品。ネジや釘を用いず材と材を組み合わせ、強固な製品に仕上げられています。「これは木ではないですよね?」「いえ、これも木です」といった会話が何度なされたでしょか。それほどまでに洗練された木製家具でした。

木から学び、木が教えてくれる・・・それが工房西田の作品だそうです。

「家具職人ですから、用を主体としたオブジェをつくることを心がけています。そして、頑丈に、長く使えるように手は抜かない」

西田さんの思いがひしひしと伝わってくる作品が揃っています。

家具工房 西田のHPへ

 

プロセス井口

プロセス井口は、製材・木材加工販売、家具制作、デザイン、建築と上流から下流までをこなすプロの職人集団です。大川の技術をもっと世に広めたいという想いから社長自ら大川市の職人ツアーを企画しています。

 

木下木芸(組子)

今回の職人ツアーの最後を飾ったのは大川組子を制作する木下木芸様。組子とは約300年前から続く建具の技法のひとつ。一つひとつ手作業で作り上げる “大川組子” はまさに芸術で、職人の命が注がれているといっても過言ではありません。

全て手作業で組んでいくため、全ての角度を設計図通りに再現するのに細心の注意を払うそうです。制作物が大きくなればなるほど、線と角度の正確さが目立つため、難易度が上がります。

下の写真は組子二枚貼りの扉ですが、このように大きな面積かつ二枚貼りは最上級の精度が要求されます。

木下木芸さんのHPへ

 

最後に

日本は物作りにおいて長い歴史と世界最先端の技術を持つ数少ない国の一つです。IT業界では中国、アメリカ、インドといった強国に後塵を拝するものの、こういった職人が生み出す最高品質のアートとも呼べる品々は、今まで以上に日本を支える大きな歯車となるはずです。

こうした技術を活かすも殺すも私たち次第。異業種の職人×職人で新たな化学反応を起こし、世界における日本の新たなポジショニングを見出すべきではないでしょうか。

大川市の職人ツアーにご興味のある方は、プロセス井口までお問い合わせください。

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