ウッド系インテリアのトレンドスタイルと注目キーワードBLOG DETAIL

森林資源と水資源が豊富な日本は、古くから木が人々の暮らしに深く根付いてきました。現在でも日本の国土の67%は森林が占め、森林率はOECD加盟国37カ国中でフィンランド、スウェーデンに次ぐ3位と報告されている世界有数の森林大国でもあります(「世界森林資源評価(FRA)2020」をもとにした林野庁の資料による)。

「ご神木」という言葉に見られるように日本人は木に対して独特の感性を持ち、ある種の信仰と多大な信頼感を寄せて共存してきた民族です。木に対する特別な感情だけでなく、木造建築が日本の高温多湿な風土や材料調達に適していたこともあり、明治維新後に石造・レンガ造の洋風建築が取り入れられて以降150年以上が経過した現在でも木造率(新築住宅着工戸数に占める木造住宅の割合)は57%(2018年、国土交通省「住宅着工統計」より)と住宅づくりの主流となっています。

佐賀県武雄市の大楠 日本人にとって木は特別なもの

建材としてだけでなく内装材や家具の材料としても木は欠かせない存在で、無垢材や木質系材料など現在では幅広い材料が家づくりに使われています。前置きが長くなりましたが今回は、日本人の暮らしに馴染みの深いウッド系インテリアの2023年最新トレンドと、関連の注目キーワードを紹介します。

1. ウッドが映えるトレンドインテリアスタイル4選

昨今の木を多く用いたインテリアスタイルは、木の存在感をメインに推しすぎないことが特徴的と言えます。木を主役に据えたインテリアはともすると野暮ったく見えがちですが、以下に紹介する4つのスタイルはウッド系の素材と質感の異なるさまざまなアイテムを上手くミックスすることで、洗練された雰囲気を作り上げています。合わせるウッド系の家具や小物は、各スタイルの世界観を壊さない脇役的な目線で選びましょう。

1-1. 韓国インテリア

白やベージュを中心としたくすみ系ペールトーンで部屋全体を統一し、ふんわりやさしい雰囲気を醸し出すのが韓国インテリアです。明るめのウッド系家具やファブリック、ラタンなどの天然素材がふんだんに散りばめられた部屋は、ナチュラルながらスタイリッシュなイメージを印象付けます。部屋全体が高明度・低彩度なので、合わせるウッド系家具はナラ、タモ、ビーチなどのライトブラウン系が適しています。

1-2. ラスティック・モダン

ラスティックスタイルが持つポジティブな意味での素朴さ・田舎っぽさに現代的なエッセンスを加えたのがラスティック・モダンスタイルです。あたたかみとクールさ、居心地の良さとスタイリッシュさを兼ね備えたスタイルとして、海外ホテルでも多く取り入れられています。ラスティックスタイルのヨーロピアンな素朴さを日本の住宅にマッチさせるのは難易度が高いですが、モダン要素を付け加えることでハードルが下がります。

同スタイルにマッチするのはミディアムからダークブラウン系の経年感のある色。素材そのままを内装に活かすのが特徴的な同スタイルでは、梁や柱もインテリアの一部として存在感を示します。家具の素材にはチークやマホガニーなど経年で深みが増す樹種を選ぶと、空間に味と奥行きが出るでしょう。

 

久留米市M邸への施工実績 ダークカラーとの調和を醸すラスティック・モダン

1-3. バイオフィリック

ドイツの心理学者、エーリッヒ・フロムが提唱したとされるバイオフィリアの概念に基づいたインテリア設計をバイオフィリックデザインと呼びます。つまり、自宅やオフィスを、自然を感じる環境に整える空間デザインのことです。人間が本能的に自然との接触を求める生き物であることに加え、空間の緑視率(目に入る緑の割合)や自然光の入り方などが生産性や幸福度に大きく影響することはさまざまな研究で明らかになっています。

業務効率や質の向上といった点からバイオフィリックデザインはオフィスで導入される例が多く見られますが、幸福度の上昇や空気清浄化といった面から自宅に取り入れるメリットも多大にあります。森林を感じさせるグリーンとブラウンの組み合わせがメインとなるのでどのような樹種でもマッチしますが、統一感を失わないためにウッドの色味を合わせることは意識しておく必要があります。

東京「人生100年社会デザイン財団様」施工実績
オフィスへの木質素材の導入

1-4. 北欧/ジャパンディ

ウッド系アイテムを多用するスタイルの中でももはや定番と呼んでいいのが、北欧スタイルとジャパンディスタイルでしょう。ジャパンディは北欧スタイルに和のテイストを加えた派生スタイルなので両者で使われるベースカラーや家具のフォルムは似ていますが、アソートカラーやメインカラー使いには違いがあります。

北欧スタイルはアソート/アクセントカラーに陽の光を思わせるブリリアントイエローや赤土を思わせるテラコッタなど自然を感じる明るい色を使うのに対し、ジャパンディで使われるのはモスグリーンやくすみピンクなど落ち着いた渋めの色です。ウッド系家具の素材としては、ライト〜ミディアムブラウン系で木目の美しいチークやバーチなどがマッチします。

2. 押さえておきたい注目キーワード

ウッド系家具にも反映されている2023年のトレンドキーワードとして押さえておきたいのが、曲線的デザイン/ラウンドシルエット、 サステナブル、 アップサイクリングの3つです。

2-1. 曲線的デザイン/ラウンドシルエット

ホームオフィスの浸透により家で過ごす時間が長くなったことで家の中に癒しを求める傾向は、家具のシルエットにも反映されています。丸みを帯びたソファ、やさしい曲線のアームチェア、曲木を使ったテーブルなどがトレンドを反映した代表的なアイテム。ウッドに合わせるテキスタイルも、表面に糸の輪っかが出たような加工のモコモコしたブークレ生地や羊毛など、肌触りの良さを感じられるものが注目されています。

三重県 アクアイグニス様 納入実績

2-2. サステナビリティ(Sustainability)

昨今の環境意識の高まりにより急激に広まったサステナビリティ(持続可能性)という概念は、インテリア先進国の北欧諸国では20年以上前から意識されてきたものですが、今後も引き続き経済活動において重要な役割を占めるキーワードになると考えられています。企業活動においては環境保全を意識した開発を意味し、インテリア界隈においては特に天然素材や自然に還る素材を使って地元で作られた商品をサステナビリティ商品と呼んでいます。

福岡市Ricca様 施工実績 サステイナブル製品と木材の調和

特に、木材加工の際に生じる端材などを活かしたサステイナブル製品は、木材インテリア界隈でも重宝されるキーアイテムです。木材、端材にご興味のあるかたは是非当社にお立ち寄りください!

木工工場にはお宝が眠っていることも。。

2-3. アップサイクリング(Upcycling)

サステナビリティの意識が広まる中で派生したのが、アップサイクリングという考え方です。経済成長期に中心だった大量生産・大量消費の姿勢を改め、物を大切に長く使おうというライフスタイルを意味します。廃棄品や不用品を再利用した家具はアップサイクル家具と呼ばれており、日本でもアップサイクル品を専門に扱うインテリアブランドも登場しています。

アップサイクル家具の魅力は、経年で得た味があることと、一点物であること。具体例をあげると、学校家具を再利用したテーブル、使われなくなった楽器やガラス瓶の照明、廃棄衣類のリサイクルボードで作られた時計、海洋ゴミから生まれたトレーなど、廃材や端材が新しい価値を持つインテリアアイテムとして生まれ変わっています。

【参考・出典】

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