ウッド系家具の特徴とワンポイントでのお洒落な取り入れ方BLOG DETAIL

木の内装材は、素朴さ・ぬくもり・やわらかさ・安心感などを印象として与えると言われています。自然素材であることや、リラックスを生み出す「1/fゆらぎ」を木目が持つことに起因していると考えられますが、それゆえウッド系の内装をインテリアに取り入れようとするとカントリー系やナチュラル系の素朴な方向に寄りがちです。

そこで今回は、ウッド系家具の特徴を理解しつつ、野暮ったくならない取り入れ方や、洗練された印象に仕上げるコーディネートのコツを紹介します。

1. ウッド系(木質系)家具とは?

木の家具や内装材は、「無垢材」を使ったものと「木質系加工材料」を使ったものの2つに大別されます。無垢材は丸太を乾燥させて作った材で、加工されてからも膨張・収縮による反りなどが起こるため木の特徴を知り尽くした職人でないと扱いが難しいと言われています。吸湿性や消臭性・防虫性など木が持つ特長が残るメリットがある一方、1本の木から切り出せる数が限られ、加工に時間と手間がかかるため価格は高めというデメリットがあります。

東京「人生100年社会デザイン財団様」施工実績(木質フローリング×木質家具)

一方で、木質系加工材料は、単板や木材チップを用いて本物の木に見えるように作られた材で、合板(ベニヤを積層して接着した材)やパーティクルボード(木材チップを加熱圧着した材)が家具としてよく使われる代表格です。化粧合板(合板の表面を塗装やプリントで美しく加工した材)は、品質表示ラベルでよく目にする木質系加工材料ではないでしょうか。

メリットは、大量生産を目的に作られているため品質が安定しており、価格が安いこと。複数の木材を合わせることで反りが少なく、軽くて丈夫になるため、家具だけでなく床材や壁材など家の内装にもよく使われます。デメリットは、無垢材に比べると安っぽくなりがちなことと、傷やへこみができたときに修復が困難なことです。

両者ともにメリットとデメリットがあるので、使用場面と求めるクオリティによって適材適所で選び分けることが大切です。家具で使用される場合に注目すべきは、①見た目、②質感・使用感、③強度、④メンテナンス性、⑤価格の5つ。例えば、キッチンやバスルームなど水回りに無垢材の家具は向きませんが、耐水性や耐熱性が高い化粧合板なら問題なく使用できます。リビングの家具やダイニングテーブルなど目につく場所には無垢材の家具を置きたいが価格的に厳しい、という場合は、扉や天板などに木目の美しい無垢材を用い、裏面や内側など見えない部分に加工材を使ったハイブリット商品を選んで価格を抑えるという選択肢もあります。

1.1. ウッド系家具・内装材の扱いの難しさ

ブラウン系(ライトブラウン〜ダークブラウン)のカラーはインテリアにおいて比較的合わせやすい色と位置づけられていますが、木を取り入れる場合には特有の難しさがあります。
①色が均一でない
②木目合わせが難しい

の2点がその理由です。
木には多くの種類があり、それぞれ色や木目に違いがあります。木質系加工材料はメーカーや販売店によってある程度一般化されているものの、無垢材は自然の中で育ったものであるため同じ樹種でもひとつとして表情が同じものは存在しません。

例えばフローリングの床にウッド系家具を置く場合、同じ「木」であるという視覚的認識から、色や木目の違いが目につきやすくなります。同じ時期・同じ店ですべての家具を揃えて統一感を保つという対策は現実的ではないので、同じ樹種を選んでも購入タイミングによって微妙に表情が違う、ということが起こり得ます。

当社倉庫内。木材一つ一つが違った表情を持つ

1.2. 色味と木目が与える印象の違い

木材は樹種によって表情が異なるのが特徴であり、魅力です。天然木の家具は、経年変化で色味が変わっていくことも考慮して選ぶ必要があります。プリント合板が用いられている家具の場合は、モデルとなる樹種の色味と木目を真似て作られているので見た目の印象は無垢材と大きく変わらないと考えてよいでしょう。以下に、家具に用いられる代表的樹種の特徴を紹介します。

2. コーディネートの注意点

複数のウッド系家具を置いた際に統一感を崩さず、野暮ったくならないため気をつけるべきポイントは、必ずしも木を主役にせず、周りのアイテムとのバランスを取ることです。色合わせ、ハズし、メリハリの3点に配慮したコーディネートで課題は解決できます。

(1)色合わせ

前述のとおり、ウッド系家具は色合わせが鬼門です。家具同士の色合わせ、床材が木質フローリングである場合の床色との色合わせ、の2点を考慮する必要があります。家具同士の色がバラバラだと一気に統一感が失われるので、基本的に同色か、限りなく近しい色のものを選ぶようにしましょう。

家具と床との色合わせでは、床が薄い色なら家具は一段階濃い色を、床が濃い色なら家具は一段階薄い色を選ぶと馴染みやすく、立体感も出ます。以下のコーディネート例では、床と家具の色に差を付けることで空間の単調さを解消することに成功しています。

当社プロセス井口による三重県「アクアイグニス様」納入例(濃い色のウォールナットに薄い色の家具の組み合わせ)

(2)ハズしを入れる

異なる素材を組み合わせることで、予定調和を裏切って新鮮さを生み出すのはインテリアコーディネートの定石です。天然素材である木は、同じ天然素材同士(革、石、ファブリックなど)で組み合わせるとやわらかな印象に、人工的な素材(メタル、ガラスなど)と組み合わせるとシャープな印象になり、スタイリッシュに仕上がります。

福岡県 納入実績

テーブル天板にメタルを用いることでシャープな印象に仕上がっている

(3)メリハリの付け方

床と家具の色が近似していたりのっぺりとした印象が拭えない場合、また木の印象が強くなり過ぎてしまう場合は、家具と床の間にコントラストの出る色を挟むことで問題を解消できます。具体的な対策としては、椅子やテーブルなど家具の足部分に白や黒の無彩色を差したり、ラグを敷いて茶色(フローリング)の占有面積を減らすことで、一度空間が分断されてメリハリが付きやすくなります。

3. ウッド系家具がマッチするスタイル3選

ウッド系家具を使ったインテリアというとどうしても複雑・ソフト寄りのカントリーやナチュラル系スタイルを想像しがちですが、木が持つ素朴な印象と相反するスタイルや素材・形状と合わせるとスタイリッシュに仕上がります。インダストリアル、北欧・ジャパンディ、ミッドセンチュリーモダンを例に、素材選びのポイントを紹介します。

(1)インダストリアル

硬質でディテールに富んだインダストリアルスタイルには、コンクリートや濃色で古木感のある素朴なマテリアルを選ぶと世界観を壊さずに取り入れることができます。木目のしっかりした個性の強い材でも悪目立ちしないので、着色を加えた木質材以外にも、色味が濃いウォールナットや、木目が強く出たチーク、タモ、ナラなどの樹種がおすすめです。木と革やメタルの異素材ミックスは、このスタイルの特徴とも言える組み合わせです。

三重県多気郡多気町「VISON」内店舗様 施工実績

(2)北欧/ジャパンディ

自然との共生・共存とシンプルさが程よくミックスされた北欧やジャパンディスタイルには、ミディアムブラウン系のやわらかさのある素材が似合います。木の存在感や力強さを匂わせる木目を持つケヤキやブナ(ビーチ)は、北欧/ジャパンディの家具でよく使われるベージュや淡い色味にもマッチ。異素材と組み合わせる場合は、木と同じ天然素材であるファブリックや革との相性が良いです。

三重県 アクアイグニス様 納入実績

(3)ミッドセンチュリーモダン

ミッドセンチュリーモダンスタイルの代名詞が、プライウッド(積層合板)を使った家具たちです。プライウッドを三次元に曲げる成型合板技術の開発により、1940〜60年代には同素材を使った近未来的デザインの家具が数多く発表されました。DCW(イームズ作・1946年)やセブンチェア(ヤコブセン作・1955年)は同スタイルを代表する作品で、現在でもその人気ゆえにリプロダクト品が多く発売されています。

プライウッドは木材の薄板を貼り合わせて作るため、使用される樹種によって色味はライト〜ダークブラウンと幅広く、カラフルな彩色を施したものも多く見られます。家具自体の個性が強いため、家具を主役とし、他のアイテムは主張を抑えるとまとまりやすくなります。

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