日本の木製家具製造県トップ10ランキングBLOG DETAIL

福岡県大川市のように戦国期の船大工が前身となって家具生産が盛んになった都市、旭川市のように開拓使に由来を持つもの、静岡市のように江戸時代の普請を機に発展を遂げたもの、など日本の家具生産の代表的な都市には歴史と地理的好条件が備わっています。

さらに視線を広げ、県単位で木製家具生産のランキングを俯瞰してみるとどうでしょうか?人口の集中している都市、歴史的な大名のおひざ元、林業の盛んな県、など様々な要因が木製家具の生産額に影響を及ぼしていることに驚かされます。

今回は、全国47都道府県の、木製家具生産額をベースにランキングトップテンを紹介します。また、日本の5大家具産地に関する詳細は「日本の5大家具産地の概要と歴史」の記事を参照ください。

1位:大阪府

東京に次ぐ全国2位の人口を誇る大阪府は、全国の「木製家具製造業(漆塗りを除く)」の出荷額1位に輝く地域でもあります。歴史的にも大阪は和歌山や高知県から集まる良質な材木の集積地として知られ、家具生産や製材の拠点として有名でした。

戦後は、東京と並ぶ強固な経済圏を武器に、一般家屋だけでなくオフィスやテナント向けの事務用家具需要などが戦後に高まり、手工業から機械化への移行に成功したことで知られています。その証拠に、木質家具の出荷額は全国1位であるにも関わらず、木質家具に従事する従業員数は全国6位と、効率的な生産体制を整えていることが伺えるでしょう。

牧方家具団地や堀江の立花通りなど、家具販売店が集中的に軒を連ねる地域も少なくなく、気軽にインテリアを買いそろえる土壌が備わっています。

出荷額 :818億円(全国1位)
従業員数 :2102人(全国6位)
事業所数 :143社(全国4位)※

※事業所数は4人以上をカウント

大阪城(Photo by 中岑 范姜

2位:愛知県

戦国時代を終焉に導いた三英傑ゆかりの土地である愛知県は、現在でも東京、大阪に次ぐ強大な商圏を誇ります。当時から石高に恵まれ、また三英傑のおひざ元として普請の多かった愛知県は、地理的にも良質な木材の産地である飛騨に近く、堀川が中心に加工・流通拠点として発展を遂げます。特に名古屋城改修に際して多くの腕のたつ職人たちが愛知に越してきたこともあり、その後箪笥等の木製家具が盛んになることとなりました。この伝統は、今でも県の伝統的工芸品指定をうけている「名古屋桐箪笥」などに受け継がれています。

出荷額 :740億円(全国2位)
従業員数 :3258人(全国2位)
事業所数 :163社(全国2位)

3位:岐阜県

律令時代から飛騨工と呼ばれる腕利きの職人文化をかかえ、森林面積率全国2位という豊潤な森林資源と水源をもつ岐阜県が木製家具出荷額3位にランクインです。飛騨家具は日本5大(6大)家具産地の一つと知られる由緒正しい木工の町で、豊潤なブナ資源を活かした椅子やテーブルづくりを得意とします。

出荷額 :585億円(全国3位)
従業員数 :3421人(全国1位)
事業所数 :117社(全国6位)

Photo by rumpleteaser

4位:福岡県

僅差で岐阜県の後塵を拝したのが、日本最大の家具の産地である大川市を抱える福岡県です。大川市の家具生産量は年間330億円であり、福岡県の木製家具出荷額が577億円であることを鑑みると、いかに大川市のプレゼンスが高いか理解できるのではないでしょうか?岐阜県の飛騨同様、大川市もまた近隣の潤沢な木材資源、流通に便利な広大な河川(筑後川)、室町時代の船大工に起源をもつ歴史的職人背景、といった家具づくりの肝となる様々な要因を携えて成長を遂げました。

柳川の水路と船の名残

木工の町として独自の職人文化を育んできた大川では、その長い歴史の中で林業、製材、流通、塗装、卸売り、といった、地域内の各産業・企業間の網の目の高密度コミュニケーションが醸成、「社会的資本」が蓄積されさながら町全体が巨大な木工メーカー(最盛期では町全体の4分の1が木工従事者)のような役割を担うようになっています。

大川市にところかしこに材木の匂いが

日本の家具生産の成長が少子化や海外メーカーの攻勢などによって鈍化しつつある現在、大川市は大川インテリア振興センターを立ち上げたり、国内外のデザイナーとコラボをしかけるなど、官民一体となって日本の家具作り再興に熱意を注いでいます。大川市の歴史と家具産地としての詳細に関しては「【大川家具480年の歴史】なぜ大川の家具は世界最高水準なのか」の記事を参照ください。

出荷額 :577億円(全国4位)
従業員数 :3250人(全国3位)
事業所数 :176社(全国1位)

海外デザイナーとコラボによる茶室

5位:静岡県

日本の5大家具の産地、静岡市を有する静岡県が家具の出荷額5位にランクインです。静岡県の木製家具の出荷額が490億円、静岡市の家具出荷額が164億円であるため、大川市同様、高いプレゼンスを示しているのが伺えますね。今川義元が桶狭間の戦いで敗れ、今川氏が没落するまで静岡市は「東国の京」と呼ばれる繁栄をみせ、関東と関西を結ぶ交通の要衝として経済的な土壌を備えていました。

1635年の浅間神社の普請を機に、各地から腕利きの職人たちがこの地に移り住み、そのまま定住したことが静岡市が家具の町として栄えるきっかけになったと言われています。特に、漆塗りに適した温暖な気候であることが幸いし、鏡台やタンスなど、漆塗りを活かした家具生産に活かされるようになりました。

出荷額 :490億円(全国5位)
従業員数 :2144人(全国4位)
事業所数 :148社(全国3位)

静岡市浅間神社

6位:栃木県

日光、八溝、高原、県南という4つの林業地を抱える栃木県は東京にも近く、関東の家具生産地として有名です。歴史的には、日光東照宮普請の際に移り住んだ職人たちが地元に定着したのだとか。その名残が鹿沼市などで、木工の彫刻屋台はユネスコ無形文化財に登録してあります。

出荷額 :333億円(全国6位)
従業員数 :927人(全国13位)
事業所数 :36社(全国17位)

栃木県鹿沼市(Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

7位:千葉県

東京都のお隣という好立地から、千葉県でも首都圏向けの家具生産が盛んです。歴史的にも、江戸との文化的、職人的交流が盛んな好立地であったため、多くの職人文化が千葉で形成されました。

出荷額 :298億円(全国7位)
従業員数 :636人(全国18位)
事業所数 :25社(全国26位)

8位:広島県

備後キリを用いたタンス作りなどで有名な家具の名産地、府中市を抱える広島県が木製家具の生産高8位にランクインです。江戸時代までは地元での地産地消材としてタンスが作られていましたが、近代化とともに重いタンスを遠方に運ぶ技術が確立されると、山を越えて日本各地に販売されるようになりました。

ちなみに、広島県は日本の都道府県のうち、森林面積10位の広大な森林保有地域(西日本で10位にランクインしているのは広島県のみ)です。

出荷額 :285億円(全国8位)
従業員数 :2070人(全国7位)
事業所数 :108社(全国7位)

9位:北海道

北海道にも家具の名産地「旭川市」が存在感を示しています。大川市や飛騨高山など、近世以前にすでにその諸君都市としての基礎があった諸家具の名産地と違い、北海道の家具生産は日本の近代化とそれにともなう屯田兵や開拓使の入植によって開始されました。

手つかずの原生林の生い茂る北海道の荒野を全くのゼロから開拓していったため、それが後世の家具づくりの母体となったと言われています。やがて、戦後の復興需要によって家具生産の受注が加速され、日本を代表する家具の産地として名をはせることとなりました。

北海道の強みは、日本の都道府県1位となる潤沢な森林資源です。北国で育った身の締まった木材は家具使用にも用いられるため、家具づくり同様林業(林業出荷額は全国3位)でも北海道は有名な地域です。

出荷額 :262億円(全国9位)
従業員数 :2144人(全国5位)
事業所数 :107社(全国8位)

手つかずの自然の残る北海道

10位:福島県

会津地方、中通り、浜通り地方と異なった気候条件を備えた地域を持つ福島県には、歴史上多種多様な職人文化が形成されました。国内の桐材で最上級と誉の高い「会津桐」の生産地である福島県では、会津桐を用いた贅沢なタンスなどの生産が有名です。また、二本松城の改修の際に移住した職人たちの文化が息ずく二本松家具の二本松箪笥は重ね箪笥としてギミックの凝らされた面白い特徴を持ちます。

出荷額 :251億円(全国10位)
従業員数 :1080人(全国10位)
事業所数 :37社(全国15位)

会津の自然(Photo by Raita Futo

参考文献:経済産業省 地域別統計表(木製家具を参考)

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