黒色を用いたインテリアデザイン・内装作りのコツBLOG DETAIL

時には宗教的なシンボルとして、時には政治的な活動の旗幟として、文化や歴史によってその解釈は異なりますが、この世に2色(白と黒)しか存在しない無彩色という異質な存在感を放つ「黒」は、特別な扱いをされ続けてきました。

ひとたび部屋に取り入れると、場の雰囲気を引き締まらせる独特の存在感を持つ「黒」という色ですが、それゆえに扱いは容易ではなく、インテリアの中でも黒を用いたデザインは玄人向けと言われています。今回は、特に黒というカラーを家具・内装と絡めどのように用いるのがお勧めなのか、黒色を用いたインテリアデザインに実績のある当社の経験を元に説明していきたいと思います。

黒色の持つイメージ

上述の通り、「黒」という色の持つイメージ、意味合いはその文化や時代に応じて異なります。日本の歴史や文化に登場する黒という色も、その色本来の持つ特異性とイメージから、良くも悪くも特殊な扱いをされてきました。

日本での良い扱いという意味では、柔道の黒帯のような「強さ」の象徴であったり、黒留袖のような「高貴さ」、仏教のなかでの「忍辱」、裁判官の着る服のように「中立性」などと連想されます。千利休や葛飾北斎のような芸術の巨匠たちも孤高の色として黒色を好んできました。

一方で視覚的に夜や闇を連想させることから、「黒星」「喪服」「黒猫」のような死、敗北、孤独、不吉、などの象徴としても扱われており、数ある色の中でもその扱いの難しさが見て取れます。

ポジティブなイメージ
高級感、重厚感、神秘的、威厳、孤高、成熟、公正、スタイリッシュ、芸術的

ネガティブなイメージ
孤独、死、恐怖、暗黒、不吉、敗北、不気味

インテリアやファッション、コーポレートカラーに至るまで、黒を混ぜ込んだデザインというものが「玄人向け」と言われるもの、ひとえにこの両極端なイメージに起因しているのではないでしょうか。ちなみに、日本以外でもこの「黒」の扱いづらさは同様で、基本的には「高貴」「スタイリッシュ」な色として好まれる一方、宗教的、政治的に利用されてきた経緯から扱いが複雑です。

  • イスラム教の象徴(イスラム諸国の国旗によく用いられる)
  • キリスト教で死やデーモンの象徴(喪服に用いられる。黒魔術、黒ミサ等)
  • ファシズムの象徴(イタリアの黒シャツ部隊)
  • 中国では黒は日本と同じく「高貴」であるが「不吉」でもある
  • 黒は欧米社会で「黒人」のメタファーであることも

扱いづらいということは、裏を返せばそれを使いこなせる場合「玄人」とみなされることが多く、ファッションにしろインテリアにしろ、黒を用いたデザインのできる人間は一定の敬意をもって称されます。

インテリアとしての黒の役割

さて、インテリアの中で用いる際、黒色はどのような役割を担うのでしょうか。黒はちょっとしたポイントとして扱うだけで場の雰囲気を一変させる魔力を帯びているカラーです。良い言い方をするのであれば「場を引き締める」ですし、悪い言い方をすると「場の雰囲気を壊す」、といったニュアンスでしょうか。

「黒」は事象・物体を引き立たせる額縁効果を持ち、そのためピンポイントで使用するだけでも周囲の印象をガラッと変えることになります。椅子や机の脚を黒アイアンに変えたり、建具部分、フレーム部分に「黒」をアクセントに変える手法は、全体のイメージを壊さずにかつ効果的に高級感を取り入れる手法として用いられがちです。

フランスの作家スタンダールの小説「赤と黒」でもモチーフとなるように、無彩色としてどのような色との組み合わせでもある程度の調和を醸す黒も、特に「赤」や「茶色」のような濃い暖色とは絶妙なハーモニーを奏でます。

孤高で、静けさに満ちた闇の「黒」の中に、生命、燃え滾る情熱、活力、などポジティブなイメージを持つ「赤」はひと際耀いて見えるものとされ、ゆえにモンキーポット材やチーム、ウォールナット、フレンチオークのような深い赤味を帯びた木材と「黒」とはまさに最良のパートナーなのです。

福岡県 納入実績

一部分ではなく、壁や床材、天井材などさらに面積の多い部分に黒を使用すると、さらに空間の重厚感が増すこととなります。床や壁に黒を使う場合でも、無彩色である黒はやはりどんな家具・内装材とも合わせられることが可能ですが、色合わせによってはきつい印象を与えてしまうこともあるため、全体の雰囲気を和らげるために、彩度を落とした暖色、グレーや中性色の家具などが、居住空間での使用には好まれます。

福岡県久留米市M邸 施工実績

視覚的にスタイリッシュであることもさることながら、キッチン回りを黒系で統一することで、汚れや傷を目立ちにくくする実用的な効果も表れます。

高級バーやクラブのような商業空間では、むしろ重厚感、高級感を前面に押し出した黒の使用が好まれるため、黒と彩度の高い赤、黒い床と黒い家具といったような無彩色同士の、組み合わせも、こういった現実離れした空間をモチーフにする際に活躍します。

このように、ひとたび使いこなせるようになれば魔法のように空間の雰囲気を一変させる魅力を持つ「黒のインテリア」。ご興味のある方は、デザイン、内装、家具製作まで一貫したサービス可能な弊社までお問い合わせください!

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