【複合フローリング】国産と輸入品の違い、メリットは何か??BLOG DETAIL

輸入複合フローリングの国内シェアは2~3%で、日本のフローリング市場における主役はまだまだ国産フローリングと言えそうです。なぜ日本人は国産の複合フローリングを使う傾向にあるのでしょうか?価格面で優位なのか、それとも輸入物にはない独特の技術を持つのでしょうか。

今回の記事では、ロシア、中国、ドイツなどのフローリング材の輸入実績を持つ当社の視点から、「複合フローリング」の分野での国産材と輸入品それぞれのメリット・デメリットについて解説を行います。

複合フローリングとは

そもそも、複合フローリングとはなんでしょうか?

平成25年の改定前は第一種、第二種、第三種といった複雑な定義づけがされていた「複合フローリング」ですが、改定後の日本の農林規格の定義づけは非常にあっさりした、以下のようなものとなっています。

単層フローリング以外のフローリングであって、根太張用又は直張用として使用されるものをいう
(引用元:フローリングの日本農林規格)

つまり、フローリングが全て同じ一枚物の木材で構成された「無垢(単層)フローリング」以外の種類の木質フローリングを総じて「複合フローリング」とひとくくりにされている形です。基本的に日本の複合フローリングの基盤は寸法安定性を得るための合板使用であり、表面材としてなにを使用するのかによって種類が異なります。

複合フローリング単体で日本国内では年間6,000万㎡の需要を持ち、この需要量はEUの木質フローリングの年間総需要量(7,000~8,000万㎡)に肉薄しています。もっとも、この中で高い需要を持つのは表面がシート、または薄い突板のもので、挽き板に比べ木のもつ魅力(吸湿効果、手触り等)は半減されますが、安価なためデベロッパーがマンションを建設する際などに一括で採用されます。

林野庁は「木づかいニッポン」のスローガンのもと、国産材の使用を推奨しており、大手メーカーの汎用品以外にも、近年では「スギフローリング」「ヒノキフローリング」「北海道材フローリング」などご当地フローリングも展示会などで脚光を浴びています。

輸入複合フローリングについて

さて、日本国内の輸入材の複合フローリングはどのような様子でしょうか。

日本建築学会の調査では、1990年以降日本国内の輸入複合フローリングの国内シェアは5%±3%くらいの水準を推移しており、10%に達したことはありません。

輸入国の国別の統計データはありませんが、大建工業のように東南アジアの海外工場で製造し日本に逆輸入するような例も含めると、全体の9割程度が中国・東南アジア産で、1割程度がアメリカやドイツなどの欧米産であると予想されています。

すでに世界で最大の「フローリング輸出国」と化した中国はフローリングの輸出量だけで年間3000億円に達しています(Statista出典。ただし、統計にはタイルなどを含む)。その他、ベトナムやインドネシアなど日本と関係の深く木材資源を豊富に抱える東南アジア諸国も中国に次ぐフローリング生産先としてじわじわと中国の持つシェアの獲得に動いています。

タイルなどと比べて輸入フローリングの輸入量が5%前後で頭打ちになっていることの理由としては、例えば以下のようなことが挙げられます。

  • 日本独特の規格(エフフォースターやL45防音認定等)やサイズ
  • 日本独特の施工方法
  • 中国・東南アジアの労働単価の値上げによって価格競争力が失われつつある

元々海外のメーカー側は日本の独特の市場規格に合わせるたびに、都度都度工場のラインを変更するなどしていましたが、中国国内の需要増、ヨーロッパへの輸出チャンスの拡大なども相まって、建材市場の頭打ちとなった日本に魅力を感じず、労力をかけてまでこだわりたい海外メーカーの数が減っている事実があります。事実、複合フローリングの輸入量は2000年の6%をピークに徐々に減少傾向にあり、2010年代後半では2%程度に落ち込みました。

特に、ここ数年中国を含む新興国の労働力単価は値上がりを続けており、安価な労働力を武器に安い製品を国外市場に輸出して外貨を得る、というビジネスモデルに影が差し始めています。その分、国内の中間所得者層が増加したため、そちらにシフトしていくことが予想されています。

JETRO資料を元に作成)

国産vs輸入複合フローリングのメリット・デメリット

上述の通り、複合フローリングの中にもいくつかの種類があり、さらに輸入フローリングの中にも東南アジア産のものと欧米産のものとで分かれます。そのため、一概に特徴について断言することはできませんが、それぞれ以下のような特徴を持ちます。

勿論、国産でもパインやメープルを使用しているメーカーもありますし、欧米産でも日本規格のものを導入しているメーカーもあるので、あくまで参考程度にとらえてください。

国産材のメリット・デメリット

複合フローリングの国産メリット・デメリットを考えるには、例えばユニクロのような日本のアパレル企業(生産拠点は日本ではありませんが)と、海外直輸入のブランド品や中国のアウトレット品とを比べてみると分かりやすいかも知れません。

ユニクロの場合、安く、大量生産を、手軽に、どこでも、手に入れることができ、サイズも日本人のそれに適しています。欧米海外ブランドの直輸入品ですと、サイズは日本人にあわないかもしれないし、価格も高いですが、みなが持っている画一的なデザインを避けることができます。中国アウトレットのものなら日本のサイズに似ており、デザインはあか抜けていないかも知れませんが、日本の大手アパレルよりも安く仕入れることができるでしょう。

これと同じことが、複合フローリングの世界でも言うことができます。国産複合フローリングのメリットは「日本のサイズにあった」「大量生産品」を「どこでも手に入れる」ことができる点です。

対してデメリットとしては「デザインや製品が画一的」であり、一部製品技術を持ちません。例えば、欧米メーカーが生産技術をもつ「リノベ向けクリックフローリング」や「SPCフローリング」、中国メーカーが持つ「挽き板+塩ビ基板」の製品などは、国内メーカーはほぼ生産していません。また、ウォールナットのように北米原産の樹種やオークのようにヨーロッパ原産の樹種に関しては、日本のメーカーは価格競争力を持たないこともあります。

メリット

  • 国の規格・サイズに適合する
  • 国産材の需要増に貢献できる
  • 大量生産・大量消費で在庫確保が容易

デメリット

  • 一部の製品に対して価格競争力を持たない
  • 海外メーカーの持つ一部の製品技術を持たない
  • 汎用品であり、製品・デザインがユニークでない
  • 流通の多くを占める国産材は針葉樹で、強度が海外の樹種(広葉樹)に比較して弱い

ただし、日本の建材需要の7割以上は「新築需要」であり、その商流をBtoBで抑えている以上、基本的に日本国内で消費される複合フローリングのほとんどは国産品ということになります。

輸入複合フローリングのメリット・デメリット

輸入材としての複合フローリングのメリットを見ると、先ほど説明した「国産材のデメリット」にあたる部分の逆がそのまま当てはまります。すなわち、それぞれの国の持つ強みの部分を日本のメーカーは持たず(土足対応、独特のデザイン、リノベ式クリック施工、挽き板+塩ビ基板品等)、その意味で輸入複合フローリングを購入する意味はある、ということです。

メリット

  • 一部製品・樹種に価格競争力を持つ(欧米・中国)
  • 一部ユニークな製品技術を持つ(欧米)
  • ユニークなデザインを持つ(欧米)

デメリット

  • 一部の製品に対して価格競争力を持たない(欧米)
  • 日本のサイズに適合しない(欧米)
  • メーカー対応が不安定(中国)

ただし、国内の輸入複合フローリングの流通量が10%を超えたことがないことからも分かる通り、あくまで日本の建材市場の主役は国産品であることは念頭に置くべきでしょう。規格など基本的に日本のメーカーを優先して作られており、国内メーカーの稼ぎ頭である輸入複合フローリングは当分国策によって守られるのではないでしょうか。

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