エンジニアリングウッド(加工木材)の種類BLOG DETAIL

人類史が木材と共に歴史を歩んでいく中、木材の耐久度を増し、さらに使い勝手のよいものにしたいという野望が沸き上がりました。加工木材の歴史は古く、古代エジプトや中世中国の家具などに「接着された」木材の使用があったと伝えられています。

20世紀前半、アメリカで機械を用いた加工木材の大量生産がはじまると、瞬く間にその利便性は国境を越えて世界に伝播しました。

2024年現在、家具や住宅製造の分野において「エンジニアリングウッド(加工木材)」は欠かせないものになっています。我々の暮らしを支えるエンジニアリングウッドには、どのような種類が存在するのでしょうか?

※本来英語圏における表記は「加工された木材(エンジニアード・ウッド)」ですが、ここでは日本で一般的に用いられている「エンジニアリング・ウッド」の名称を使用しています

エンジニアリングウッドとは

木材を加工して製造された「加工木材」のことです。無垢木材と異なり、高温・高圧などの環境下で接着剤を用い加工されており、無垢木材よりも一般的に強度の点でアドバンテージを持ちます。

また、無垢木材の場合は節や割れのある個所があると出荷できない(または値段に影響がある)ですが、加工木材はチップ状、ベニヤ状になったものを組み合わせるため、廃材や端材を用いての製造もおこなわれています。

原材料 接着剤 繊維の方向
MDF/HDF 木片(繊維状) 使う
パーティクルボード 木片(細かい) 使う
OSB 木片(粗い) 使う 直交
LVL ベニヤ 使う 平行
合板 ベニヤ 使う 直交
集成材 挽き板 使う 平行
CLT 挽き板 使う 直交

このような強度を持つ加工木材(エンジニアウッド)の用途は多岐に渡り、橋や高層ビルといった耐久の要される場面でも昨今では用いられるようになってきました。

MDF(Medium-Density Fiberboard)

Medium-Density Fiberboardの略語で、日本語では「中密度繊維板」という呼び方もなされます。似たような工法・素材でHDF(高密度繊維板)といった材質も存在しますが、強度や密度が異なります(一般的に、HDFのほうがMDFよりも高価格)。

木材を繊維レベルまで分解し、接着剤を用いて高温かつ高圧力下で生成します。このような製造工程を背景にもつことから、合板やパーティクルボードよりも一般的に強度が高いと言えます。また、滑らかな表面を維持できるため、塗装作業やメラニン加工がスムーズにおこなえます。

もっとも、その強度の高さから切断時にソーの歯を傷めることがあり、専用の器具を要します。また、ホルムアルデヒドという人体に影響を及ぼす可能性のある物質を含むことから、切断・研磨等の作業時には注意が必要です。

使用用途:

  • 壁、天井等の内装材
  • フローリングの基材
  • 家具
  • ドア

パーティクルボード

パーティクルボードも繊維板の一種です。先ほどのMDF(中密度繊維板)との比較から、LDF(低密度繊維板)とも呼ばれます。MDFの場合、木片が目視できないほど細かく繊維状になっていますが、パーティクルボードの場合チップ上の木片が目立ちます。廃材などが材料として用いられ、エコであるとも言えます。

湿度による変形や変色をもたらすため、屋外や湿度の高い環境での使用は避けられがちです。

使用用途:

  • 壁、天井等の内装材
  • フローリングの基材
  • 家具
  • スピーカー材
  • 梱包材

OSB(配向性ストランドボード)

ある意味、OSBもパーティクルボードの一種とも言えます。木片が大きく一見して密度が荒いように見えますが、強度の出る方向性にそって圧縮されているので耐久性をほこります。こちらも、上述のMDFやパーティクルボード同様、チップと接着剤を高温で圧縮している作りになっています。

使用用途:

  • 構造材
  • 家具
  • 梱包材

LVL(Laminated Veneer Lumber)

日本語では単板積層材と呼ばれます。単板(ベニヤ)材料を、全て並行に接着したものをLVLと呼びます。集成材に比べ強度が高く、構造材などに用いられます。

一枚板の木材には節や割れ、反りなどの自然の欠点が存在するため、こうした部分を補うために登場した素材となります。

使用用途:

  • 家具
  • 構造材
  • 内装材
  • 梱包材

LVL(Laminated veneer lumber)のサンプル材

合板

先ほどのLVLとは対極に、単板(ベニヤ)材料を、全て直交方向に接着したモノを合板と呼びます。層によって繊維方向が異なるため、寸法安定性が高まり、反りを抑えます。この上に塗装やシートを施すことで、化粧合板として用いることが一般的です。

使用用途:

  • 家具
  • 構造材
  • 内装材
  • 梱包材

集成材

木材を縦に薄くスライスしたLVLや合板とは異なり、集成材に用いられる挽き板(ラミナ)は木材を断面に切断したもので、異なる色合いを含み、そのまま内装材などに用いることのできる見目の美しさを持ちます。

使用用途:

  • 家具
  • 構造材
  • 内装材

CLT(Cross laminated timber)

日本語では直交集成材です。先ほどの集成材は繊維方向を同じく重ね合わせたものですが、CLTは繊維方向を交互に重ね合わせ、強度を保っています。まだ比較的新しい材質であり、従来型のものよりも費用が高い傾向にあります。

使用用途:

  • 構造材
  • 内装材

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