【Okawa Wood Trailer】タイニーハウスの歴史と意義BLOG DETAIL

リーマンショック、労働超過、貧富格差の拡大と行き過ぎた物質主義。大国アメリカは資本主義経済が抱える問題を内包し、ある種、経済発展と国民の幸せを両立する上で飽和点を迎えつつありました。

Live in each season as it passes; breathe the air, drink the drink, taste the fruit, and resign yourself to the influence of the earth (季節の移ろいに身を任せ、空気を吸い、酒を飲み、果実を味わい、大地に身体を委ねよ) ヘンリー・デイヴィッド・ソロー

そんな中、過剰な労働社会へのアンチテーゼとしてアメリカで生まれた「シンプルな生活様式」のムーブメントが、リーマンショックやコロナ禍を契機に新たな生き方、働き方が見直されるにつれ、大衆のうちで脚光を浴び始めています。

物質的豊かさだけでなく、人生の豊かさを求めるための新しいライフスタイルとしてアメリカで人気を博す「タイニーハウス」の歴史と特徴について、まとめていきたいと思います。

Tiny House(タイニーハウス)の歴史と意義

タイニーハウス(英語で「小さい家」の意)は、アメリカで数十年前に登場した家の形態です。要するに、かつての「Bigger is Better(大きけりゃ良い)」という典型的なアメリカンスピリットが人口集中やリーマンショックのような経済危機である種の飽和点を迎え、反動で人々の興味・関心が「小さくても満足してたら良いよね」という逆方向に傾いたことで発展を遂げました。

その過程で登場した、小さなライフスタイルを可能にする小さな家全般、つまりコンテナハウスや庭にある秘密基地のようなログハウス、そしてトレーラーハウスなどもこのタイニーハウスに抱合される形になります。

アメリカのタイニーハウス

もっとも、タイニーハウスは単に「小さな住まい」そのものを指し示すのではなく、むしろ「物質主義からの脱却」という哲学的使命と結びつくことが多く、たびたび「精神的豊かさを追い求める生活様式一般」として扱われます。そこには「自然回帰主義」「自発的シンプル生活(voluntary simplicity)」「ミニマリズム」「超絶主義」「実存主義」といった哲学的姿勢も包括されるわけです。

タイニーハウスの発生意義

  • 経済的不安定からの脱却(不動産神話の崩壊)
  • 自然回帰的・バイオフィリック的な生活への憧憬
  • 物質的な充足から精神的な充足へ
  • 幸福の追求、自身の経験に即した人生価値の探求

こうした意義を鑑みると、日本では、単なる「小さな家」として理解されがちなタイニーハウスですが、「自然の中に持ち運べる」「移住可能な」「物理的・経済的に自立した」牽引式のトレーラーハウスが本来の意味でのタイニーハウスに近しいのではないでしょうか。少しの固定費で、道路の続く限りどこへでも移動でき、湖畔のほとりや山の上でのんびりと週末を過ごすことができ、家賃やローンに悩まされることのない、タイニーハウスはこうしたノマド的な生活様式とセットで語られることが少なくありません。

「The Appeal of the Tiny House Lifestyle in the USA」の中で、タイニーハウスとは不確実で不安定な、そしてストレスという荒波の荒れ狂う現代社会における「救命ボート」のようなものであると紹介されています。日本以上にハードワークで成果主義なアメリカの資本主義経済において、若者たちは、朝から晩までぶっ通しで仕事をし、その給料を月何十万もの高い家賃と食費にあてて、毎日満員電車に揺られ、その人生をすりつぶしていきます。こうした「労働のための人生」からの脱却としてタイニーハウスはニーズをとらえ、人気を博しているわけです。

タイニーハウスの魅力

上述の通り、(移動式)タイニーハウスのコンセプトはいくつかの哲学、ライフスタイルに関連しており、個人的な背景によってもメリット・事情は異なります。

代表的なところでは、「自然の中にワーケーションスペースを創造できる」という部分が挙げられるでしょう。アメリカ、エドワード・ウィルソン教授によって提唱された「バイオフィリック」(人間は遺伝的に自然とのつながりを求め、これが欠如すると生理的不具合を起こす)のコンセプトは、現在ではオフィスや都市建設のデザインに援用されており、様々な論文で「森林浴」や「自然に囲まれたオフィス環境」の必要さが論じられています。

ワーケーション

人類の長い歴史(ホモサピエンスが登場してから20万年)の中で、人類が狭いビル空間に押し込まれて生活を始めたのは産業革命以降のせいぜい200年程度であることを考えると、本来的に人間は「自然との繋がり」を求める動物なわけで、生理的にも「自然の中」で仕事をすることは、創造性をもたらし、ストレスを軽減する効果を持ちます。トレーラ式のタイニーハウスは、(Wi-Fiと駐車スペースさえあれば)、こうした山や森の中に瞬時に仕事環境を誂えることが可能です。

経済的な側面は、アメリカでのタイニーハウス購入の理由のマジョリティを占めています。上述の通り、都市部の異常な不動産高騰、ローンの不確実性、雇用の不安定さ、といった側面からアメリカの不動産神話は崩壊しつつあり、人々は「特定の都市に縛られない生活スタイル」を選ぶようになりました。

(Dreaming Big and Living Smallを元に作成)

社会福祉的な側面もタイニーハウスにとって追い風です。地震や台風災害の際の仮設住宅、難民や生活保護者の住居、といった「一時的な住まい」の需要は今後ますます増していくでしょう。アメリカで人気を博した映画「Nomadland」は、仕事と都市を転々としながら自身のバンで暮らす高齢者の姿を描いています。

そして、個人的に最も重要だと思えるのが「人生体験」的な側面です。人生とは生身の体験の継続で、これは映像や書物での知識では永遠に凌駕することがかないません。コロナ禍の中で旅行ができなくなり、多くの人が「映画」や「動画」による旅行を試しましたが、五感を通じて味わうあの旅行体験の魅力には遠く及ばないしたことを痛感したでしょう。トレーラー式タイニーハウスは、星降る山の上、海岸の日の出、といった非日常空間に、自分の肉体ごと誘ってくれます。

満天の星に囲まれた夜

タイニーハウス購入の目的・メリット

  • 自然の中でのワークスペースの確保(ストレス軽減と創造性向上)
  • 経済的な自立と固定費の軽減
  • 災害時などの仮住居
  • 新たな人生経験のための「救命ボート」

当社プロセス井口では、こうしたタイニーハウスを独自工場にて製作、一人でも多くの方に「タイニーハウスでかけがえのない人生体験」を味わっていただきたく思います。製作は日本最高水準の木工技術を持つ「大川工場」にておこなわれる、480年の歴史を誇るMade in Okawa製です。ご興味のある方は、以下のリンクから詳細を参照ください!

日本一の家具産地・大川のシンボルへ“旅する”木製ウッドトレーラーが走り出します!

大川発のOkawa Wood Trailer

工場での作業風景

参考文献
Boeckermann, Lauren M., Andrew T. Kaczynski, and Sarah B. King. “Dreaming big and living small: examining motivations and satisfaction in tiny house living.” Journal of Housing and the Built Environment 34.1 (2019): 61-71.

Ford, Jasmine, and Lilia Gomez‐Lanier. “Are tiny homes here to stay? A review of literature on the tiny house movement.” Family and Consumer Sciences Research Journal 45.4 (2017): 394-405.

Mangold, Severin, and Toralf Zschau. “In search of the “Good Life”: The appeal of the tiny house lifestyle in the USA.” Social Sciences 8.1 (2019): 26.

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